特集 「Not? Special GIFU LIFE」〜甲斐みのりさん、岐阜市でどんな“すき”を見つけましたか?〜 #01
岐阜市にゆかりのある著名なゲストを招き、岐阜市の“特別ではない”日常を体験していただく企画「Not? Special GIFU LIFE(ノット?スペシャルぎふライフ)」。
第2弾のゲストは、文筆家の甲斐みのりさんです。
プライベートや仕事で何度も岐阜市を訪れ、2024年には岐阜市の複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」が発行する季刊紙「メディコス文化道」にてコラムを執筆するなど、岐阜市にゆかりの深い甲斐さんが、2日間にわたって市内を巡り、岐阜市の暮らしの魅力を掘り下げます。
<甲斐みのり>
1976年静岡県生まれ。旅、散歩、お菓子、地元パン、手土産、建築、雑貨や暮らしなどを主な題材に、書籍や雑誌、WEBなどに執筆。訪れた土地の魅力を見出して綴る愛しみのある文体で、全国に多くのファンを持つ。自身を変えるきっかけとなった“すき”を書き連ねた「すきノート」を紹介する『「すきノート」のつくりかた』ほか、著書多数。2024年に「メディコス文化道」VOL.13〜15にて「甲斐みのりが歩く 岐阜の文化地図」を執筆。
http://www.loule.net/
ラ・パティスリー りぼん
「Not? Special GIFU LIFE」の始まりは、1970(昭和45)年から50年以上続く洋菓子店「ラ・パティスリー りぼん」から。
ショーケースには、いちごのショートケーキやフルーツタルトといった色とりどりのケーキ、シュークリーム、可愛らしい手のひらサイズの「プティエクレア」などがずらり!
イートインスペースが併設されていて、ケーキが付くモーニングセットやサンドイッチ、グラタンなどのランチも楽しめます。
この日のお目当ては「のり巻きサンド」。ハムと玉子とツナマヨとレタスを、ふわふわのパンと海苔で巻いたユニークなメニューです。甲斐さんは友人からその存在を聞き、ずっと気になっていたのだそう。

「のりとパンが不思議とマッチしてクセになります!持ち帰りもできるので、手土産にも利用したくなりますね。」
「りぼん」という店名は、“人と人を結ぶお店にしたい”という思いを込めて、初代の山賀正次さんが名付けたそう。正次さんの奥様で、現在は息子の浩二さんと一緒にお店を営む敏子さんから、「主人は若い時、毎日毎日、“ケーキ屋をやりたい!”って言っていてね。それで、4.5坪の小さなお店から始めたんです。」という微笑ましい思い出話を聞かせていただき、愛おしい朝のひとときを過ごしました。
DATA <ラ・パティスリー りぼん>
住所 岐阜市川端町14
営業時間 8:30〜19:00
定休日 日曜日、祝日
駐車場 あり(無料)
TEL 058-265-3271
URL https://www.cake-ribbon.jp/
みんなの森 ぎふメディアコスモス
次に訪れたのは、市立中央図書館や市民活動交流センター、展示ギャラリー、ホールなどから構成される岐阜市の複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス(通称:メディコス)」。世界的建築家の伊東豊雄氏が設計を手がけ、この建築を見るために市外からも多くの人が訪れます。
2階の図書館へ上がると、 “波打つ天井”と呼ばれる、岐阜市の山並みをイメージしてデザインされた木製の格子屋根と、天井から吊るされた大きな傘のような“グローブ”が視界に飛び込んできます。
グローブはそれぞれ、「レファレンスグローブ」、「文学のグローブ」、「ヤングアダルト(中高生)のグローブ」、「親子のグローブ」などジャンルが分かれていて、子どもから大人まで誰もが楽しく、自由に、本とともに過ごせる空間がつくられています。
この日はあいにくの雨でしたが、むしろ図書館でゆったりと過ごすにはぴったり。甲斐さんは1階にある「本の蔵」にも足を伸ばします。
「本の蔵」は、利用が少なくなった古い本や貴重な本などが収蔵されている“書庫”。2階にはない古い資料や新聞も保管されていて、天井まで届く本棚一面をびっしり埋め尽くす蔵書に、甲斐さんは圧倒されながらもワクワクとした表情で本を手に取っていました。
甲斐さんはメディコスを“岐阜市に惚れ込むきっかけになった場所”だと語ります。
「初めてメディコスを訪れた時、“こんな図書館があるまちに住めたらなんて素敵なんだろう!”と思ったほど、素晴らしい場所。晴れた日はテラスから金華山を眺めたりして過ごしていましたが、今回は雨が降っていたので、“朝から一日中図書館の中で過ごしてみたい”と新しい視点でメディコスを見ることができました。雨の日も、寒い日も、どんな日でも自分の居場所がつくれる場所だと思います。」
DATA <みんなの森 ぎふメディアコスモス>
住所 岐阜市司町40-5
開館時間 9:00~21:00 ※市立中央図書館は9:00~20:00
休館日 毎月最終火曜日(祝日の場合は翌日、年末年始と重なる場合は前週の火曜日)、年末年始
駐車場 あり(30分/100円 ※館内利用者は入庫後2時間まで無料)
URL https://g-mediacosmos.jp/
市役所大食堂
昼食は、メディコスの南向かいにある岐阜市役所2階の「市役所大食堂」へ。
2021年5月の岐阜市役所新庁舎の開庁に合わせてオープンした食堂で、岐阜の郷土料理から、和食・中華・洋食・麺類までオールラウンドに揃い、ランチタイムは地元の方や観光客など、多くの人で賑わいます。

その理由は、いわゆる“食堂”のレベルを超えた、本格的な料理が味わえるから。
実は、この食堂を運営しているのは国内外で飲食店を展開している地元企業「円相フードサービス」。そのため、岐阜や東京にも店舗がある南インドカレー専門店「エリックサウス」の本格的なカレーや、地域の食材を使った和食を提供する「円相カド」の定食を味わうことができるのです。
豊富なメニューから悩んだ末に、甲斐さんが選んだのは「三種のカレープレート」。
「本格的な辛さだけど、後を引く美味しさ。特にバターチキンカレーが理想の味で、とっても美味しい!しかも、市役所の食堂なのに、休日も夜まで営業しているのは嬉しいですよね。」
DATA <市役所大食堂>
住所 岐阜市司町40-1 岐阜市役所 2階
営業時間 11:00~20:00 ※ラストオーダー19:30
定休日 無休
駐車場 あり(岐阜市役所駐車場30分/100円 ※館内利用者は入庫後2時間まで無料)
TEL 058-216-3235
URL https://www.tanuki-soba.com/
松田屋
続いては、岐阜市役所から15分ほど歩いたところにある和菓子屋「松田屋」へ。
1950(昭和25)年に創業し、今年で75年目。2024年4月にリニューアルオープンして、現在は2代目の松田たか子さんと、18歳から3代目を継いだ松田貴広さんがお店を営んでいます。
おはぎや草餅、豆大福、鬼まんじゅうなど、手づくりの和菓子が並ぶ中でも、看板メニューはお団子。甘辛く味付けされた「みたらしだんご」と、飛騨高山風の「しょうゆだんご」があり、店内のイートインスペースで焼きたてが味わえます。

「店内で食べるときは、通常より多くタレをつけて3度焼きしてもらえるのも嬉しいですね。こんなお店が近所にあったら、ふらっと立ち寄ってお団子1本いただきながらひと休みをして、また散歩に出かけるという日常が思い浮かびます。学生でも買いやすいお手頃な値段で、松田屋さんがこのまちにあり続け てくれるというのは、住んでいる人にとって宝物ですよね。」
DATA <松田屋>
住所 岐阜市多賀町19
営業時間 11:00~17:00
定休日 日曜日、祝日(5月の節句、お彼岸は営業)
駐車場 あり(無料)
TEL 058-262-5843
URL https://www.instagram.com/matsudaya_gifu/
山本佐太郎商店
次に訪れたのは、1876(明治9)年の創業から140年以上の歴史を誇る老舗油問屋の「山本佐太郎商店」。甲斐さんが岐阜市を訪れた際に、必ず足を運ぶというお気に入りのお店です。
店内では4代目の山本慎一郎さんと“まっちん”こと和菓子職人・町野仁英さんとのコラボレーションから誕生した「大地のおやつ」シリーズのお菓子や、レシピサイト「白ごはん.com」とのコラボ商品の「だしブレンド」やふりかけなどを販売しています。
特に原材料から製法まで、安心安全とおいしさにこだわり、“30年後も愛されるおやつ”というコンセプトのもと生まれた「大地のおやつ」シリーズは、今や全国に多くのファンを持つ看板商品。かりんとうやサブレ、ビスケット、あられ、五平餅など、さまざまな商品が展開されていて、甲斐さんもお気に入りのおやつをカゴいっぱいに詰めていきます。
店内の一角にある「あんたきば」は、まっちんさんの工房として設けられたスペースで、不定期でつくりたての和菓子を販売しています。この日は季節限定の「あんみつ」の販売日。もちろん甲斐さんも購入し、早速食べてみることに。
伊豆産の天草でつくった寒天、赤えんどう豆、特別栽培小豆を使った粒あん、白玉だんご、粗糖で炊いたあんずが入ったあんみつに、沖縄・波照間(はてるま)産の黒糖で作った特製の黒みつを少しずつかけて楽しみます。
「何もかけずに食べると豆の風味が感じられて良いですし、黒みつをかけても美味しい。しっかりとした歯応えの寒天やもっちりとした白玉など、さまざまな食感が混ざっていて、とっても美味しかったです!」
DATA <山本佐太郎商店>
住所 岐阜市松屋町17
営業時間 9:30~17:30
定休日 日曜日、祝日
駐車場 あり(無料)
TEL 058-262-0432
URL https://www.instagram.com/yamamotosataroshoten/
はちみつ専門店 秋田屋
続いても美味しいものを求めて、2025年4月に岐阜公園内にオープンして以来、連日観光客や地元の人で賑わう「岐阜城楽市」へ。
岐阜や東海の食が味わえる飲食店や土産店など11店舗が軒を連ねる中でも、甲斐さんが特に訪れたかったのが、1804(文化元)年創業の老舗養蜂問屋の初の実店舗として、岐阜城楽市にオープンした「はちみつ専門店 秋田屋」です。
店内にはアカシア、れんげ、さくらなど、さまざまな花から集められた国産はちみつが並ぶほか、はちみつバター、はちみつを使ったスイーツなど、多種多様なオリジナル商品が並び、甲斐さんもじっくりと吟味しながら買い物を楽しみます。
「ここのはちみつバター『雪白』が大好物で、繰り返し岐阜市から取り寄せていたんです。待望の実店舗ができたと知り、訪れるのが楽しみでした!」
さらに、店舗限定商品の「はちみつソフトクリーム」を発見!早速、いただきました。
ワッフルを添えたソフトクリームに、季節替わりの3種類のはちみつから1種類を選び、たっぷりとかけた「はちみつソフトクリーム」に、ミツバチの巣を切り取った「コムハニー(巣蜜)」をトッピング!はちみつを上からかける瞬間には、思わず歓声が上がりました。
濃厚な甘さと爽やかな酸味が特徴の「ヒマワリはちみつ」は、さっぱりとしたソフトクリームと相性抜群。さらにコムハニーも加わって、はちみつの濃密な味わいを存分に堪能することができました。
DATA <岐阜城楽市>
住所 岐阜市大宮町1
営業時間・定休日 店舗によって異なります。
駐車場 岐阜公園駐車場(310円 ※1時間まで無料)
TEL 052-526-1871(名鉄プロパティマネジメント株式会社)
URL https://meitetsu-pm.co.jp/gifujo-rakuichi/
DATA<はちみつ専門店 秋田屋>
住所 岐阜市大宮町1 岐阜城楽市内
営業時間 10:00〜17:00
定休日 水曜日
駐車場 岐阜公園駐車場(310円 ※1時間まで無料)
TEL 058-214-3383
URL https://www.instagram.com/akitaya_gifu/
餃子飯店
少し早めの夕食は、岐阜市加納にある町中華「餃子飯店」で。
店内はカウンターの上や壁に手書きのメニューがずらり。メニューの横に可愛いイラストも添えられていて、ほっこりした気持ちになります。
名物のギョーザをはじめ、炒飯、エビ料理、丼、麺、焼きそばなど、幅広いラインナップの中から、甲斐さんは人気の「ミックスギョーザ」や「麻婆豆腐」を選びました。
「焼ギョーザには、白菜とキャベツが両方入ってる!これって珍しいですよね?」
「キャベツだけだとパサつくので、白菜で柔らかさをプラスしているんです。」
「エビギョーザは、餡から、皮まですべて美味しい!これはエビ好きにはたまらないですね。えびの尻尾が飛び出しているのは、ご主人が考えたんですか?」
「エビが大きくて、意図せずはみ出ちゃったんです。偶然だけれど、それが良かったのかな。塩と片栗粉で丁寧に下処理をしていたり、結構手間をかけているんですよ。」
カウンター越しに弾む、店主の赤尾嘉昭さんとの会話を通して、一つ一つの料理にこだわりや愛情がたっぷり詰まっていることが伝わって、甲斐さんもにっこりしながら美味しい料理をいただいていました。
「メニューを見ていたら、今回頼んだもの以外にも、あれも食べたい、これも食べたいと食いしん坊心が働いてしまいました。次はもっといろんなメニューが食べられるように友人を誘ったりして、誰かと一緒に岐阜市を巡るイメージも湧いてきました。」
DATA <餃子飯店>
住所 岐阜市加納南広江町60
営業時間 11:30~13:50、17:00~20:00
定休日 月曜日、火曜日(祝日の場合は翌日休み)、臨時休業あり
駐車場 あり(無料)
TEL 058-271-3825
ぎふ金華山ロープウェー・岐阜城
餃子飯店を後にして、訪れたのは岐阜公園。期間限定で開催されている「岐阜城パノラマ夜景」でライトアップされた岐阜城を目指して、「ぎふ金華山ロープウェー」に乗り、金華山の山頂へ向かいます。
360°ガラス張りのゴンドラに乗り、山頂駅まで約4分間の空中散歩を楽しみます。ゴンドラからは金華山の自然林、長良川、岐阜市のまち並みや濃尾平野が一望でき、四季折々の景色を楽しめるのが魅力です。
山頂駅から「岐阜城」の天守閣までは、徒歩約8分の道のりです。
織田信長が天下統一の拠点とした岐阜城。信長がこの地方一帯を平定した際に「岐阜」という地名を名付けたことはよく知られています。そんな歴史に思いを馳せながら階段を登っていくと、霧の中にぼんやりと岐阜城が浮かび上がってきました。

岐阜城は4階建て。各階では岐阜城や信長にまつわる展示が行われ、信長が行ったまちづくりや岐阜城の歴史について学べます。そして、最上階の展望デッキでは、かつて信長が眺めた城下の景色を一望することができます。
「かなり霧がかかっていましたが、それがかえって幻想的で。ゴンドラで霧の中に入っていく感じが、本当に織田信長が過ごしていた時代にタイムスリップして潜り込んでいくような感じがして、とてもロマンチックな体験でした!」
DATA <ぎふ金華山ロープウェー>
住所 岐阜市千畳敷下257
営業時間 9:00~17:00 ※時期によって営業時間が変動します。詳しい営業時間はこちらをご覧ください。
定休日 無休 ※2026年2月2日 (月)~2月5日 (木)は施設点検整備のため休業。
駐車場 岐阜公園堤外駐車場(310円 ※1時間まで無料)
URL https://www.kinkazan.co.jp/
DATA<岐阜城>
住所 岐阜市天主閣18
開館時間 3月16日~10月16日は9:30~17:30、10月17日~3月15日は9:30~16:30
※受付は閉館の15分前まで。 ※期間限定で夜間営業を実施しています。 ※元旦のみ6:30〜
※令和8年5月中旬から 令和9年10月末(予定)まで改修工事のため休館します。
休館日 無休
入場料 大人(16歳以上)200円、小人(4歳以上16歳未満)100円
駐車場 岐阜公園駐車場(310円 ※1時間まで無料)
TEL 058-263-4853
URL https://www.city.gifu.lg.jp/kankoubunka/kankou/1013051/1005097/1005098.html
貿易風ミグ
金華山からの夜景を楽しんだ後、1日目の締めくくりとして訪れたのは、茶色いレンガ造りの建物が印象的な「貿易風ミグ」。1951(昭和26)年に創業された「Bar貿易風」を現マスターの湯沢久雄さんが2014(平成26)年に引き継いで営業しています。
扉を開くと、上品なベロアの赤い椅子に、ヴィンテージの家具など、まるでイギリスのパブのような空間が広がっています。

カウンターの中からマスターが優しく声をかけてくれるので、初めての方や一人でも安心です。女性のお客さんが多く、ボトルキープされているうちの半分以上が女性なんだそう。
貿易風ミグでは、通常、酒屋さんなどでは買えない限定ウイスキーを中心に扱っています。甲斐さんもマスターおすすめのスコットランドのアイラ島で造られている「ARDBEG(アードベッグ)」をいただきました。
「飲みやすくて、好きな味です!レトロな空間でお酒を楽しむ、このバーの雰囲気が味わいたくて訪れる人も多そうですね。」
DATA <貿易風ミグ>
住所 岐阜市弥生町24-3
営業時間 18:00~翌1:00
定休日 日曜日(翌日が祝日の場合は営業、翌月曜日休み)
駐車場 なし
チャージ料 600円(税抜)
TEL 058-262-1808
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こうして、甲斐みのりさんが岐阜市の暮らしの魅力を体験する「Not? Special GIFU LIFE 」の1日目が終了。甲斐さんにとって思い出深い場所から初めてのお店まで、さまざまなスポットを巡り、岐阜市の“特別ではない”日常を体験していただくことができました。2日目の様子は、次回の記事でご紹介します。どうぞお楽しみに!
甲斐みのりさんが体験した「Not? Special GIFU LIFE」の1日目の様子は、こちらの動画をご覧ください!
「Not? Special GIFU LIFE」 2日目の様子はこちら
投稿日:2025.12.10 最終更新日:2025.12.10