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特集 「Not? Special GIFU LIFE」〜甲斐みのりさん、岐阜市でどんな“すき”を見つけましたか?〜 #02

特集 「Not? Special GIFU LIFE」〜甲斐みのりさん、岐阜市でどんな“すき”を見つけましたか?〜 #02

岐阜市にゆかりのある著名なゲストを招き、岐阜市の“特別ではない”日常を体験していただく企画「Not? Special GIFU LIFE(ノット?スペシャルぎふライフ)」。
第2弾のゲストは、文筆家の甲斐みのりさんです。
プライベートや仕事で何度も岐阜市を訪れ、2024年には岐阜市の複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」が発行する季刊紙「メディコス文化道」にてコラムを執筆するなど、岐阜市にゆかりの深い甲斐さんが、2日間にわたって市内を巡り、岐阜市の暮らしの魅力を掘り下げます。

 

「Not? Special GIFU LIFE」1日目の様子はこちら

 

<甲斐みのり>
1976年静岡県生まれ。旅、散歩、お菓子、地元パン、手土産、建築、雑貨や暮らしなどを主な題材に、書籍や雑誌、WEBなどに執筆。訪れた土地の魅力を見出して綴る愛しみのある文体で、全国に多くのファンを持つ。自身を変えるきっかけとなった“すき”を書き連ねた「すきノート」を紹介する『「すきノート」のつくりかた』ほか、著書多数。2024年に「メディコス文化道」VOL.13〜15にて「甲斐みのりが歩く 岐阜の文化地図」を執筆。
http://www.loule.net/

 

サカエパン

2日目はJR岐阜駅南口近くにあるパン屋「サカエパン」からスタート。1947(昭和22) 年にパンの卸として創業し、1992(平成4)年に店舗を開業した「サカエパン」。早朝から夜まで、営業中はひっきりなしにお客さんが訪れる人気店です。
甲斐さんも、そんな「サカエパン」ファンのひとり。岐阜市を訪れるときはもちろん、名古屋に用事があるときも、サカエパンでパンを買うためにJR岐阜駅まで足を運ぶのだそう。

「『あんぱんちゃん』のように甘いパンには“ちゃん”、『やきそばくん』のようにおかず系のパンには“くん”がついていて、パン一つ一つが人格を持っているところが好きなところ。そんな目線で見ていると、本当にパンが可愛く見えたり、凛々しく見えたりするんです。(笑)」
曜日や季節限定の商品なども入れ替わり、毎日60~70種類のパンが並びます。どのパンも具がたっぷり入っていて、子どもから大人まで愛されるシンプルな美味しさです。

「お客さんがたくさんのパンをトレーに乗せて買っていくのを見て、『誰かのために買っていくのかな。それともパン好きで、自分でたくさん食べるのかな?』とか、そこにいる人たちの暮らしも想像しながら、自分もパンを選ぶのがすごく楽しくて。」


 DATA <サカエパン>
 住所   岐阜市加納栄町通1-9
 営業時間 6:50~19:00
 定休日  不定休
 駐車場  あり(無料)
 TEL   058-271-0290


 

金神社

仕事やプライベートで全国各地の神社やお寺を訪れている甲斐さんは、“その土地の神様には、朝のうちにご挨拶”を基本として守っているのだそう。この日はJR岐阜駅から徒歩約10分のところにある「金(こがね)神社」を参拝しました。大きな金色の鳥居をくぐって、境内へ入ります。
“こがねさん”の愛称で地域の人に親しまれている「金神社」は、金運や商売繁盛のご利益があるとされ、特に初詣の時期や「金の御朱印」がもらえる毎月最終金曜日には、多くの参拝者で賑います。早速、甲斐さんも金運・勝運・開運・招福への願いを込めて、手を合わせました。

「仕事の途中で立ち寄っている雰囲気の方もたくさん訪れている様子で、みんなに親しまれているところも良いなと思いました。私も地域に根付く神社で、おまもりを持ち帰りたいなと思い、小さなおまもり『金(こがね)守』を授与していただきました。」


 DATA <金神社>
 住所   岐阜市金町5-3
 授与所  9:00〜17:00
 駐車場  あり(参拝の方のみ)
 TEL   058-262-1316
 URL   https://koganejinjya.com/


 

柳ケ瀬商店街

参拝を終えると、金神社からすぐ北にある「柳ケ瀬商店街」を散策。戦後、全国でも有数の繁華街として栄えた商店街。昭和から続くレトロな飲食店や映画館が並ぶほか、若い世代が古い建物を活かして新しいお店やギャラリーを始めたりと、新旧のお店が混ざり合い、現在も変化し続けています。

「 “ここにカフェがあったらいいな”とか、“自分がここでお店をやるとしたら何ができるかな、古道具屋さんとか古本屋さんもいいな”とか、そういうことを考えながら商店街を巡るのが楽しかったです。イメージが膨らむ素敵な建物がたくさんあるので、本当に可能性がたくさんあるなと感じました。」
アーケードの下を歩きながら、途中で気になるお店が目に入って立ち寄ったり、古い看板や街角のモチーフを見つけて写真を撮ったりと、柳ケ瀬散策を満喫する甲斐さん。「古道具mokkumokku」では、椅子や木のバインダー、マッチ箱など、古道具や古材を手に取りながらレトロな空間を楽しみました。

「新しいものと古いものを合わせて使うことが好きで、古道具は自分の暮らしにも取り入れています。mokkumokkuさんはお店の方が古材や端材を使ったオリジナルプロダクトを作られているのがとても良いなと思いました。」


 DATA <柳ケ瀬商店街>
 URL https://yanagase-gifu.com/

 DATA<古道具mokkumokku>
 住所   岐阜市柳ケ瀬通2-24
 営業時間 12:00~17:00
 定休日  火曜日、水曜日、木曜日
 駐車場  なし
 TEL   0120-212-339
 URL   https://www.instagram.com/gifu_mokkumokku/


 

三河亭

お昼は、柳ケ瀬商店街を抜けて北に5分ほど歩いたところにある洋食屋「三河亭」で。
1894(明治27)年に岐阜で初めての洋食店として開業した老舗「三河亭」。2013(平成25)年に一度休業したものの、2021年7月に復活を果たし、現在も岐阜市民に愛され続けています。
そんな三河亭の看板メニューが、丼に入ったカレーライスに目玉焼きが乗った「高等ライス」。門外不出の秘伝のレシピでつくられている特製ソースをかけて食べるのがポイントです。
玉ねぎや豚肉の甘みが凝縮され、少しスパイスが効いたとろみのある欧風カレーに、じっくりと煮込んだ野菜の旨みとほどよい酸味が広がるソースを組み合わせることによって、オリジナルの味わいを生み出しています。4代目の中島稔さんの娘である服部恵美さんに「高等ライス」の復活物語を聞きながら、甲斐さんもいざ実食。

「まろやかで上品な風味の中、後からほわんと顔をのぞかせるスパイスがクセになって、これはリピート必須ですね!」


 DATA <三河亭>
 住所   岐阜市八ツ寺町1-2
 営業時間 11:00~14:00
 定休日  日曜日、月曜日
 駐車場  あり(無料)
 TEL   058-262-2618
 URL   https://www.instagram.com/mikawatei1894/



ぎふしんフォーラム(岐阜市民会館)

建築に造詣が深い甲斐さんが訪れたのは、「ぎふしんフォーラム(岐阜市民会館)」。
近代建築の粋を集め、市の「文化の殿堂」として1967(昭和42)年に開館した「ぎふしんフォーラム(岐阜市民会館)」。クラシックコンサートや演劇、舞踊、映画などのイベントができる大ホールがあるほか、展示ギャラリー、スタジオ、会議室を備え、地域の文化芸術の拠点施設としても親しまれています。ル・コルビュジェの弟子として知られる建築家の坂倉準三氏が手がけた名建築で、全国から建築目当てに訪れる人も多いのだそう。そして、甲斐さんもこの建築に惚れ込んだ一人です。

「実は、『ぎふしんフォーラム』の円錐台形の大ホールを覆う“大仏タイル”と呼ばれる表情豊かな色合いのタイルを待ち受け画面にしていたこともあるほど、この建物のファンなんです。」
手すりの曲線が美しい螺旋階段や壁のタイル、下の角が丸くなった窓のデザイン、ドアノブなど、細部までじっくりと、その美しさを味わいました。


 DATA <ぎふしんフォーラム(岐阜市民会館)>
 住所   岐阜市美江寺町2-6
 営業時間 8:00〜21:30 ※夜間の利用がない場合は17:30に閉館
 休館日  年末年始 (12月29日〜1月3日)
 駐車場  あり(無料)※主催者用駐車場のため開放されない場合あり
 TEL   058-262-8111
 URL   https://gifu-civic.info/


 

プルシック

次はおやつを求めて、岐阜市の中心市街地から少し足を伸ばし、琴塚にある洋菓子店「プルシック」へ。
「シンプル&ベーシック」というコンセプトのもと、2010(平成22)年にオープンしたこのお店には、クリームのようになめらかな食感が特徴の看板商品「TOKOROプリン」を中心に、季節のプリンやロールケーキなどが並びます。
お店のオーナーシェフの所浩史さんは、実はイタリアンレストラン「パステル」からパスタに合うプリンとして1993(平成5)年に発売され、大ブームを巻き起こした「なめらかプリン」の生みの親。
甲斐さんも、なめらかプリンの大ファンだといいます。

「初めてパステルのなめらかプリンを食べた時に、プリンのイメージが覆されて。体にプリンが染み込んでいくような心地よさを感じて、忘れられない体験だったんです。そして今日、私に“なめらかなプリンが好き”という人生の楽しみを持たせてくれた“プリンの神様”に会えました!そんな嬉しい気持ちと同時に、プルシックが日常の暮らしの中にある岐阜市の方々が羨ましいなと思いました。」

プルシックでは、定番のなめらかプリン「TOKOROプリン」のほか、「ティラミスプリン」や「ピスタチオプリン」、マンゴーやメロンなど旬のフルーツのジュレが乗った「季節のジュレ&プリン」など、季節替わりでさまざまな種類のプリンを展開しています。

「『TOKOROプリン』とメロンのジュレが入った『季節のジュレ&プリン』の2つのプリンを、ぺろりと食べてしまいました!」


 DATA <プルシック>
 住所   岐阜市琴塚2-1-18
 営業時間 10:00~18:00
 定休日  月曜日、火曜日、水曜日
 駐車場  あり(無料)
 TEL   058-215-9393
 URL   https://plesic.jp/


 

ル・モンド

最後は、甲斐さんが「岐阜市に数ある喫茶店の中でも、指折り好き。」と語る「ル・モンド」へ。
1975(昭和50)年創業の「ル・モンド」。開店時、岐阜市では珍しいコーヒー専門店として繁盛しました。まるで当時のまま時間が止まったかのような昭和の風情が漂う空間は、どこを切り取っても絵になる美しさ。

メニューはブレンドやストレートコーヒーに加え「キューバンコーヒー」や「ルシアンコーヒー」、「ジャマイカンコーヒー」など、30種類を超える世界各国のコーヒーが揃います。
中でも名物は、「アイリッシュコーヒー」。アイリッシュウイスキーとザラメが入ったグラスを火にかけ、コーヒーを注いでたっぷりのクリームを乗せた、大人のコーヒーです。
アイリッシュコーヒーを味わいながら、日々の忙しさを忘れてゆったりと過ごす、癒しのひととき。

「『ル・モンド』に身を置いている自分が心地いいというか、いつもの日常をちょっとドラマチックに彩ってくれるような場所だと思います。そういう場所が、岐阜市で過ごした2日間の中でたくさん見つかりました。これからも繰り返し通いたいですし、いろんな人を誘って来たいなって思います。」


 DATA <ル・モンド>
 住所   岐阜市殿町1-4
 営業時間 12:00~18:00
 定休日  第3木曜日
 駐車場  なし
 TEL   058-263-6036


 

***


こうして「Not? Special GIFU LIFE」が終了。商店街や建築、おやつ、老舗の喫茶店などさまざまなスポットを巡り体験した、岐阜市の“特別ではない”日常の中で、たくさんの“すき”に出会う2日間となりました。
最後に、甲斐さんに2日間の感想を語っていただきました。

今回、岐阜市の“特別ではない”日常を体験して感じたことや、岐阜市の印象を教えてください。

「私はこれまで、プライベートや取材の仕事で何度も岐阜市を訪れているのですが、それでもまだ初めてのお店や場所がたくさんあって、しかもこの2日間で新たに行きたい場所も増えて。来るたびに、好きな場所や行きたい場所が増えているなって思います。」

店主や地元の方々との会話を通して、岐阜市の人に対してどんな印象を抱きましたか?

「岐阜市に通うたびに感じているのですが、皆さん本当に優しくて、穏やかで。ちょっとおっとりしているなって思うところもあって、そういうところがすごく自分と合うんです。岐阜市に来ると、自分がすごく伸びやかでいられるなと感じるのですが、それは暮らしている皆さんがそうだから、そこに自分が馴染んでいるんだなと思います。」

実際に岐阜市に暮らすとしたら、どんな暮らしができそうですか?

「朝、喫茶店で朝食を食べて、ちょっと歩いて図書館に行って、お昼ご飯はあそこで食べて…という風に、自分が日々暮らすイメージがすごく湧いています。すでに“行きつけの店”みたいな気持ちになるほど、店主の皆さんもすごく素敵で。なんでもない日常の中で、そういったお店や場所に繰り返し通い、店主の方々に会いに行きたいなと思います。」

甲斐みのりさんが体験した「Not? Special GIFU LIFE」の2日目の様子は、こちらの動画をご覧ください!


「Not? Special GIFU LIFE」 1日目の様子はこちら

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