投稿日:2022.08.29 最終更新日:2023.10.31
Vol.7(藤代誉士さん、あや乃さん、珠羽ちゃん)
さまざまな縁に導かれ、岐阜のまちは二人の“第二の故郷”に
さまざまな縁に導かれ、
二人が岐阜市に根を張るまで。
フリーカメラマンの藤代誉士さんと、NPO法人ORGANに勤める妻のあや乃さんは、ともに県外出身。二人はそれぞれの事情で、岐阜県にやってきました。
岩手県出身の誉士さんが岐阜県に住み始めることになったのは、勤め先での転勤がきっかけでした。岩手県で就職し、美濃加茂市へ転勤が決まると同時に近くの可児市へ移住。もともとは2年間の滞在という予定でしたが、リーマンショックの影響で早期退職をすることを決断。転職を考えた時に大好きな写真を撮ることを仕事にしたいと、誉士さんは2012年、26歳の時にフリーのカメラマンになることを決意します。
「地元の岩手に戻ることも選択肢になかったわけではないですが、岐阜に友人やお世話になった人が増えてきていて、このまま岐阜に残る方がしっくりきたんです。特に岐阜市近郊に友人や知人が多かったので、そのタイミングで岐阜市に移住することにしました」。
一方、あや乃さんは富山県出身。岐阜市内の大学への進学を機に岐阜市に住み始めました。
「実は大学は1年で中退して、一度は富山に戻って3年半くらい写真屋さんで働いていました。でも、なんとなく岐阜市に住みたいなあという気持ちがあって、会社を辞めて岐阜市に戻ってきたんです」。
大学に通っていたときに初めて訪れた、柳ケ瀬商店街のどこか懐かしい雰囲気や、まちを盛り上げようとする活力ある人々の動き、それでいて地元に似たのんびりとした時間の流れも感じられる岐阜市。まちへの愛着は、岐阜市を離れてからもあや乃さんの心の中にあり、富山に戻って会社勤めをしていた頃も、名古屋市への出張に合わせて岐阜市に立ち寄ることが多かったといいます。
そして、あや乃さんは、長良川流域の持続可能な地域づくりをする「NPO法人ORGAN」に就職。岐阜市の川原町エリアにある長良川流域で作られている食品や雑貨を扱うショップ「長良川デパート」のスタッフとして働き始めた2017年に、二人は出会いました。
意気投合した誉士さんとあや乃さんは、出会った翌年に結婚。ともに県外出身ながらも、それぞれに仕事を通して岐阜市の魅力に触れたり、大切な友人やまちとの関係を築いてきたことから、ごく自然な流れで、結婚後も岐阜市で暮らしていくことを決めました。
まち外れの一軒家で、
3人と3匹、のびのびと暮らす。
今、誉士さんとあや乃さんは、3匹の愛猫と2022年3月末に誕生した珠羽ちゃんと、岐阜市中心市街地まで車で15分ほどの一軒家で生活しています。結婚したタイミングで、もう少し広い住まいで猫たちとのびのび暮らしたいと、アパートやマンションを探していたところ、不動産サイトを通して賃貸の一軒家と出会い、周辺の落ち着いた環境も含めて気に入ったことから、思い切って借りることに。
「一軒家に住むなんて考えていなかったけど、見に来たら案外いいかも…と、暮らしのイメージが湧いたんです。まちなかから離れると家賃が安いですし、のびのびと暮らせるのでおすすめですよ。マイナスな点は広すぎて掃除が大変なことくらいですね」と笑う誉士さん。3匹の猫たちも広い部屋を駆け回ったり、縁側から外を眺めたり、一軒家での暮らしを気ままに楽しんでいるように見えます。
賃貸物件でありながら、大家さんの計らいで好きなようにリノベーションしても良いことになっているため、古くなっていたキッチンを1日がかりで大掃除したり、襖や扉に猫用の小さなドアを設置したりと、自分たちの暮らしに馴染むように少しずつ手を加えています。
二人が住んでいるのは岐阜市内でも比較的高齢者が多く、若い世代が少ない地域で、藤代さん夫妻はこの辺りではおそらく一番若い世帯です。ご近所さんから七夕の笹をいただいたり、野菜をお裾分けしていただくこともあり、地域のみなさんから歓迎してもらっていると感じているそう。コロナ禍で地域行事が少なくなっていますが、ゆくゆくはお祭りや地域の運動会などにも参加していきたいといいます。
また、周辺には空き家が多いため、「自分たちを皮切りに移住する家族が増えて、新しい集落のようになれば」という思いも持っています。しかし、空き家の多くは貸しには出ておらず、知り合いづてにしか情報が出回らないという課題もあるのが現状です。
生まれ育ったまちではなくても、
周囲を頼ってたくましく子育てを。
岐阜市での子育てに関しては、特にマイナス面を感じることはなく、むしろ、家族3人で出かけるようになって、商業施設に授乳室があったり、市内に自然豊かな公園がたくさんあるなど、小さな子どもがいても安心して利用できる施設が充実していることに気付いたそうです。
両親や親戚が近くにいないことに関しては、産前産後の子育てをサポートしてくれる産後ドゥーラを頼ったり、SNSを利用して同世代で子育て中の友人との情報交換をすることで、岐阜市が“故郷でない場所であること”にハンデを感じることもなく、子育てできています。
フリーカメラマンとして、東海圏での結婚式やイベントを中心に撮影をしている誉士さんは、自分自身が親になったことを機に、これからの仕事のあり方を考えるようになったといいます。
「仕事柄、どうしても休日に出勤することが多いので、娘が保育園や小学校に通い始めたら、家族との時間と仕事とのバランスについてどうするか、とても悩みます」。
現在はまだ、仕事のペースを大きく変化させることはありませんが、将来的な仕事と暮らしのバランスについては検討中とのこと。
そして、あや乃さんにとって、妊娠から出産、子育てに専念するために欠かせなかったのが、勤め先のサポートでした。
「妊娠がわかった途端、職場のみなさんが私の身体を最優先に考えてくれて、すぐに休みなさいと産休をいただきました。子育て中のスタッフも多く、親としての先輩が周りにたくさんいることもとても心強いです!」。
現在、あや乃さんは育児休暇中。仕事復帰は出産から1年後の来年3月を予定しています。
そんなあや乃さんが育児疲れせずにいられる秘訣は、意外にも3匹の猫たちの存在だそう。傍から見れば、猫を含めて子どもを4人も抱えているかのようで大変そうに見えますが、猫たちの面倒を見ることで赤ちゃんに付きっきりになりすぎず、リフレッシュすることができているそうです。
珠羽ちゃんが大きくなったら、二人で写真を撮りに出かけていた場所に、次は家族3人で足を運び、まちに根付く古くからの文化や、それを新しいアイデアや感性で発信していく岐阜市の魅力を、珠羽ちゃんにも感じてほしいそう。誉士さんとあや乃さんにとって、岐阜市はすっかり“第二の故郷”になったといえるでしょう。
長良川デパート
住所:岐阜県岐阜市湊町45
営業時間:9:00〜18:00
定休日:火曜
URL:https://nagaragawa.thebase.in/
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