iju interview

Vol.16(森田由衣さん)

“共同育児者募集中!”
投稿がきっかけで広がる「みんなのおうち」

森田 由衣さん

きっかけは、Instagramの投稿

“共同育児者募集中”。
2児の母親として子育てに奮闘する森田由衣さんが、自身が運営するプロジェクト「みんなのおうち」のInstagramを開設し、活動開始を伝える投稿をしたのは2023年9月のことでした。現在、「みんなのおうち」は未就学児とその親を対象にした「おさんぽ会」を中心に活動しています。
金華山を臨む大きな窓からの景色が気持ちがよいマンションにて。

2023年4月に、愛知県一宮市から岐阜市金華地区のマンションに、広島県出身のご主人と2人のお子さんの家族4人で引っ越しをしたばかりだった森田さん。まだ、地域にほとんどつながりのないなかで、「共同育児者募集中」なんて、きっと何の反応もないだろう…と、大きな期待はせず、気軽に投稿したつもりでした。

しかし、思いがけず、すぐに地域の方から森田さんの元にダイレクトメールが届いたのです。それは森田さんと同じく、この地域で“子育てを共有し、みんなの居場所をつくりたい”という思い を持ち、自身も母親として子育て真っ最中の蒲由佳さんからの連絡でした。

まだ、言葉は話せないものの、素敵な笑顔でインタビューに参加してくれた長男暁道くん。

「正直、“共同育児者”なんて怪しいし、きっと誰も見ないだろうと思っていたんです。でも、すぐに反応をいただけて、とても嬉しくて、心強かったです」。
蒲さんとはすぐに意気投合し、「みんなのおうち」の活動に関わってもらえることに。その後も「上映会をやりたい」と投稿すると、岐阜善光寺の松枝朋子さんから「会場として協力できるかもしれない」と連絡が入り、森田さんの思いは、スマホの小さな画面から、あっという間に地域へと広がっていきました。

長女満葉ちゃんの作品。

はじめての子育ての孤独を
和らげてくれた「おさんぽ会」


長女満葉(みつは)ちゃんは4歳、長男暁道(あきと)くんは1歳9ヶ月。元気いっぱいのお姉ちゃんと、まだまだ甘えん坊の弟。そんな二人との毎日を、今でこそ楽しんでいる森田さんですが、満葉ちゃんを出産した時は、孤独感から気持ちが落ち込むことが多かったといいます。森田さんの出身地は愛知県知多郡東浦町で、当時のお住まいは一宮市。実家からの距離もあるなか で、知り合いや友人も少なく、自宅と公園とスーパーを往復する日々は、あまりにも単調でした。


そんななか、一宮市の「NPO法人おさんぽや」が主催する、おさんぽ会に参加したことがきっかけで、森田さんの子育て生活が大きく変わりました。それまでは“ママ友”をつくるハードルが高く、母親同士のネットワークを持っていなかったという森田さん。おさんぽ会は1年間を通して、継続的に参加する仕組みになっているため、自然と参加者同士の交流が生まれ、いつの間にか子育て中の友達が増えていきました。

おさんぽ会の様子。

子どもを遊ばせるだけではなく、親も楽しく交流ができる場の重要性を感じた森田さんは、岐阜市に住まいを移してからは、自らがおさんぽ会を主催する立場に。2023年9月に「みんなのおうち」の活動を始めて半年間、月に3〜4回のおさんぽ会を実施しています。行き先は、岐阜公園や川原町広場、伊奈波神社、護国神社、セントラルパーク『金公園』などさまざま。岐阜市には徒歩圏内だけでも、たくさんの公園があるので、行き先に困ることはありません。

セントラルパーク『金公園』

「図書館や子育て施設など屋内で開かれるイベントはたくさんありますが、親子が屋外で集まるイベントは意外と少ないんです。屋外空間だからこそ、気持ちも開放的になって、交流することができている気がします」。

金華山と長良川に抱かれ、
歴史情緒あふれる金華地区


森田さん一家が岐阜市金華地区へ引越す決め手となったのは、まず一つが車で通勤をするご主人の交通の便。それに加えて、すぐそばに自然があり、古い建物が今も大切に使われていて、伊奈波神社の清々しい空気を感じる地域の雰囲気でした。

「夫がこのマンションをすごく気に入って、私自身はこの辺りの古い建物がすごく好きで、それぞれこの場所に惹かれて引越しを決めました。“移住”というほど身構えていなくて、ごく自然な流れだったんです」。
幼稚園帰りの満葉ちゃん。寒さに負けず元気いっぱいに駆け回ります。

自宅から長良川河畔までは歩いて5分。外遊びが大好きな、満葉ちゃんと暁道くんにとっても川原は“いつもの場所”で、金華山に見守られながら、石ころで足元の悪い川原をずんずん進んでいきます。夏には水遊びもたくさん楽しんだそう。

豊かな自然だけではなく、最近では古い建物が飲食店に生まれ変わったり、岐阜善光寺の参道でマルシェが開催されたりと、新たな楽しみが増えてきていて、岐阜市のなか でも娯楽には事欠かないというエリア。森田さん自身も「まだまだやりたいことだらけですね」とにっこり笑います。

「みんなのおうち」では、2024年1月には童(わらべ)歌会、2月には味噌づくり、3月にはかねてより計画していたドキュメンタリー映画の上映会と、いずれも地域の方に会場提供などの協力をしてもらいながら、準備を進めています。イベントは親子に限らず、誰でも参加可能です。
「みんなのおうち」が大切にしているのは「まずは、大人の自分たちが楽しいことをやる」ということ。今はおさんぽ会とイベントが活動の中心ですが、ゆくゆくは、まさに“みんなのおうち”と言えるような、子どもも大人も安心して集える“居場所”をつくることが、森田さんの夢です。

「子育て情報は溢れかえっているけれど、いざ子育てが始まると余裕がなくて、がんばって自分から取りに行かない限り、情報が入ってこないんですよね。味噌づくりや映画など、まずは楽しんで参加できる“みんなのおうち”の入り口をつくっていきたいです」。

岐阜市という新たな地で、子育てに奮闘しながら森田さんが踏み出した一歩は、着実に次の二歩、三歩へとつながっています。


みんなのおうち
Instagram @minnanoouchi_gifukinka

実際のインタビューの様子はこちらの動画をご覧ください。
ココカラinterview16

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