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【前編】高級観覧船で大人の遊び<BR>「長良川船遊び」を体験しよう! | その他

岐阜市を象徴する体験型観光といえば、毎年5月11日~10月15日に行われる「ぎふ長良川の鵜飼」。多くの岐阜市民・国内外の観光客に親しまれる鵜飼ですが、『エエトコタント岐阜市』読者の皆さんは、鵜飼観覧船のなかに3隻(せき)だけ「高級観覧船」が存在することをご存じですか?大切なパートナー・家族との記念日に、仲間たちとのパーティーに、遠方から訪れる知人・友人のおもてなしに…。特別なシーンを演出するのにぴったりで、ほかの地域では決して体験できないプレミアムなひと時が、実はこんなに身近にありました。この記事では、ぎふ長良川の鵜飼の楽しみ方の真髄「船遊び」の様子を、タイムスケジュールに合わせてご紹介します。

鵜飼開催期間中の夕~夜間を想定したタイムスケジュールになっています。時間は目安です(当日の天候・進行によって変動があります)。

EETOKOTANTO GIFU!

16:30~ 
川原町をそぞろ歩き・
待合所へ

高級観覧船とは、2022(令和4)年5月にデビューした特別仕様の鵜飼観覧船のこと。岐阜市の画家・加藤東一氏が描いた『総絡み』(※鵜飼のクライマックスシーン)の色彩から着想を得て、白・藍・橙をテーマカラーに、趣向の異なる3隻の船が生まれた。

設計を手掛けたのは、岐阜市の建築設計事務所・ミユキデザインとエレファントデザイン。船名が掲げられた提灯は、岐阜県書作家協会会長・伊藤仙游(せんゆう)氏の書をもとに制作されている。岐阜の美意識が詰まった美しい設えと、「ぎふ長良川の鵜飼」を最大限に堪能できるさまざまな特典が、高級観覧船の魅力だ。

観覧船待合所の前で佇む人物2人の写真。 ぎふ長良川の鵜飼で大人の遊びをするなら、まずは事前予約しよう(※方法は、本記事の最後に紹介)。当日の出船は17:30。集合場所は、岐阜市鵜飼観覧船待合所(岐阜市上材木町425-7)になる。せっかくなら、少し早めに到着して街並み散策を楽しみたい。 長良橋南詰の鵜飼観覧船のりばから南西へ続く湊町・玉井町・元浜町は「川原町」と呼ばれ、格子戸の街並みを今に残す、趣あるエリアだ。川原町通りには、長良川流域の逸品に出会えるセレクトショップ、鮎菓子の老舗、カフェやベーカリーといった個性豊かな店舗も軒を連ねており、そぞろ歩きするだけで旅情を味わえる。
岐阜の古き良き街並みを歩く様子。

17:30~ 
芸舞妓と幇間が
お出迎え・
お囃子と
ともに出発

今回紹介するのは、ぎふ長良川の鵜飼の真髄ともいえる「船遊び」だ。岐阜では、芸舞妓・幇間(ほうかん=男性芸者)がもてなす船上の宴席を「船遊び」と呼び、岐阜でしか体感できない大人の遊び方として、古くから親しまれてきた。

幇間は日本全国で両手に数えるほどしかいないが、「船遊び」を演出する岐阜の芸妓連「鳳川伎連(ほうせんぎれん)」は、西日本では唯一、幇間が2名所属。お座敷のほか、舞妓の育成や地芝居、鳴り物など伝統の継承に取り組んでいる希少な団体だ。

乗船時の写真。芸妓さんが頭を下げている。

「船遊び」は、乗り込みから船を降りるまでの過程すべてが、特別な体験となっている。鵜飼観覧船のりばに到着すると、舞妓さんによるお出迎えが。赤絨毯の専用タラップから船に乗り込むと、これからはじまる非日常のひと時に、早くも胸が高鳴る。

乗船したのは、白木や美濃和紙の「白」をデザインの基本に据えた「白月(しらつき)」。内装にはヒノキやスギ材が使われており、全身を柔らかく包む白の空間が、なんとも上品だ。従来の観覧船は座敷・下足禁止だが、高級観覧船は船内両側にベンチシートが配置されており、下足のままくつろげるようになっている。 船の中での舞の様子。

17:45~ 
お料理とお酒を
楽しみながら
歓談タイム

笛・太鼓のお囃子(おはやし)とともに出船すると、上流の川原へと船が進む。移ろう景色を目で楽しむのはもちろん、頬を撫でる川風の気持ちよさや、ウグイス・カジカガエル・蝉・鈴虫…と季節ごとに変わる声にも、きっと心癒されるだろう。こうした風情も「船遊び」の醍醐味。船上では、幇間さんによるガイドも楽しい。金華山の名称のルーツ、長良川と街文化…など岐阜市民も意外と知らない話題に、知的好奇心が満たされる。

乾杯の写真。

川岸に船を停泊させると、乾杯を合図に宴席のはじまり。長良川船遊びでは、季節の食材を使ったお弁当はもちろん、飲料も船上に準備されている。舞妓さんや芸妓さん、幇間さんのいる宴席は、単なる宴会と異なり、お食事やお酒、舞や唄の披露が物語のように展開していく。幇間さんにすべてを委ね、リラックスしながら伝統的な宴席を楽しもう。

お弁当の写真。 長良川サイダー、クラフトビールなどの写真。

この日は、市内の人気日本料理店「食堂 碧空(あおぞら)」の仕出し弁当と、「三千盛(みちさかり)」「岐阜ビール」をはじめとする地酒に、舌鼓を打つ。グラスや盃を片手に、芸妓さん・幇間さんとの歓談も楽しみながら、ゆったりと贅沢な時間が流れていく。

芸妓さんとお話しする様子。