岐阜で学ぶ学生の1日

微笑む藤井汰地さん

PROFIELE

藤井汰地さん(24歳/大学院生)

岐阜大学大学院自然科学技術研究科。
名古屋市出身で、大学4年次から岐阜市で一人暮らしを始めた。

本を読む藤井汰地さん

岐阜大学工学部の看板

このまちが僕の学びの場。

岐阜市で学生生活を送る人たちは、どんな毎日を過ごしているのだろうか。
岐阜大学の大学院（修士課程）に通う、藤井汰地さんの1日に同行した。平日の朝、藤井さんがまず向かったのは大学のキャンパス。
その後、昼からは美殿町にある大学のラボに行き、さらに調べものをするために岐阜県図書館にも足を向けた。1日の行動範囲はかなり広いが、自転車に乗って軽やかに行動するのが藤井さんの日常だ。

大学院で「都市・景観研究室」に所属する藤井さんは、豊かな景観のあり方を考え、研究に取り組んでいる。その中で特に影響を受けたのが、自身が暮らす岐阜のまちだ。「商業地や住宅地、畑などが近い距離にあり、いろんな職業の人たちが身近にいます。たとえば大学のラボがある美殿町を歩いていると、商店街の方や近隣の方とばったり会って、そこから会話が生まれることもあります。多様な関わりを体感できることが、自分の学びにつながっています」。研究活動や旅行などを通して、日本各地のまちの魅力に触れてきた藤井さん。同時に、解決するべき課題があることも実感するという。「公共空間を見ても、『この部分を変えればもっと使いやすいのに』と感じることがあります。それを解く最適解はありませんが、誰かが試行錯誤をして対応策を提案しなくてはいけません。スキルを高め、その役割を果たせる人になりたいと思います」。まちを見つめる視点を養い、出会う人や経験した出来事から刺激を受けながら、将来につながる貴重な時間を過ごしている。

自転車を押す藤井汰地さん

鷺山で一人暮らしをしている藤井さん。身支度を終えると、自転車で大学に向かう。

研究室でタブレットを持って作業をする藤井汰地さん

この日は昼まで研究室で過ごし、修士論文の準備に取り組んだ。

本を手に取る藤井汰地さん

「都市・景観研究室」指導教員

出村嘉史教授

藤井くんは研究室配属前から指導しています。
2年生から研究室へ遊びに来るようになり、学生有志で公園整備を想定して模型を作り提案することに参加したりもしていました。

藤井さんの専門分野は「都市形成史」。地元に近い名古屋港とその周辺を対象に研究を行っている。
「100年ほど前の行政資料や公文書を読んで、『どういう経緯によってそのまちが作られたのか』を研究しています」。高校生の頃から「まち」や「景観」に興味を持っていた藤井さんは、本格的に研究に取り組むことをめざし、大学1年の頃から大学院への進学を決めていたそうだ。

本を手にして微笑む藤井汰地さん

昼からは市内中心部に向かい、都市・景観研究室が運営する「美殿町ラボ」へ。
まちなかならではの研究・教育環境が整っており、まちづくりの実践的拠点でもある。

友達とカフェで談笑する藤井汰地さん

研究室の仲間と、美殿町ラボの周辺で食事をすることも多い。まちの変化を自分の目で感じたり、商店街の人と交流したりすることも、学びにつながっている。

コーヒーを片手に歩く藤井汰地さん

図書館で作業をする藤井汰地さん

夕方からは、再び自転車に乗って岐阜県図書館に移動。研究に必要な資料を探す。

2023年7月、都市・景観研究室の出村教授とともに、スコットランドのインヴァネスで行われた国際学会に参加。
藤井さんは、2022年に岐阜県内で取り組んだワークショップについて発表した。「自分たちの取り組み内容やその意義を、各国の方に向けて発信しました」。このように、海外で自身の研究成果を発表する機会もあるそうだ。