A Taste of GIFU CITY 02
「長良天然ワイン醸造」が、ぶどうの栽培とワインの生産を始めたのは、昭和の初め。それから長い間、農薬不使用、亜硫酸無添加、自然酵母発酵のワインをつくり続けてきた。初代の孫にあたるのが、現在の経営者である林真澄さんだ。30歳過ぎまで百貨店でバイヤーの仕事をしていたが、父親の急逝によって人生の決断を迫られたという。「父が亡くなった時にワイナリーを閉めるつもりでしたが、タンクの中には父が仕込んだワインが残っていました。お客様にも背中を押していただき、自分が継ぐことを決心しました」。
付き合いの古いお客さんから「味が変わった」などと指摘されることもあったが、知り合いのワイナリーに教えを請うなどして貪欲に技術を吸収した。父親が残したワインを飲みながら、発酵の進め方やブレンドを変えるなど、試行錯誤を続ける日々。その中で感じるようになったのが、ワインづくりの本質的な面白さである。「ワインというのはつくり続けるうちに、風味も香りもどんどん変化していきます。自然を相手にするので大変なことも多いですが、やってみると面白い仕事です」。
岐阜を代表するワイナリーとして、県内外のファンの期待に応え続けてきた林さん。新たにワイナリーを始める人も出てくる中、アドバイスを求める若い醸造家に対してもサポートを惜しまない。林さんが守ってきた岐阜のワイン文化は次の時代へと受け継がれようとしている。
■ 長良天然ワイン醸造
「長良天然ワイン醸造」のルーツは、日本酒の量り売りをしていた小売店。昭和初期にワインの生産を始めた。現在、自家農園と契約農家が栽培したぶどうを使って生産している。
【住所】岐阜市長良志段見106
【TEL】058-232-4750
投稿日:2021.01.28 最終更新日:2021.01.28