Taste 02 ／ 注目スポット

風雨に耐えた年月を感じさせる、「美殿屋漬物店」の看板。しかし店内を覗くとそこは飲食店で、料理を味わうお客さんの姿が見える。どういう経緯でこの店ができたのだろうか。店主の片山治さんに話を聞いた。
「元々ここは、戦後から続く漬物屋さんの店舗でした。店を閉めた後、建物を取り壊すことも検討されたそうです。でも僕は、歴史あるお店の雰囲気が消えてしまうのはもったいないと思いました。歴史を受け継ぐ意味を込め、看板や柱などを活かしています」
Natural Baseという名のこの店は、「子どもから大人まで楽しめるレストラン」というコンセプトを掲げている。店で使う野菜は、近隣の農家が育てた無農薬のもの。また、片山さん自身も畑でハーブなどを栽培している。畑を手伝ってくれる人を募ったところ、店のお客さんやSNSを見た人が来てくれるようになった。「親子で来てくれる人も多く、子どもたちはミミズを取ったりして遊んでいます。畑でどのように野菜が育つかを知れば、食育にもつながると思います」。
大学卒業後、東京の飲食店で数年間の修行を積んだ片山さん。地元の岐阜に戻った後は自分の店を営む傍ら、岐阜県産の薬草を使ったクラフトコーラ「ぎふコーラ」の商品化にも携わってきた。そうしたさまざまな経験を踏まえて2021年11月に立ち上げたのがこの店だ。自分の決めた道を、後悔なく進む。片山さんの大切にしてきた姿勢が、いま形になろうとしている。

■ Natural Base（ナチュラルベース）
2021年11月、岐阜市美殿町にオープン。「無添加」「無農薬」を基本に、和洋のジャンルを織り交ぜた料理を提供する。店内にはクラフトコーラ「ぎふコーラ」の製造所も設けている。
【住所】岐阜市美殿町45