Taste 03 / 注目スポット
「最初は別に何でも良かったんです。二十歳くらいの時にバーに憧れ、その後興味を持ったのがコーヒーでした」。豆の種類や焙煎・抽出方法など、どの側面を切り取っても奥が深い。コーヒーの面白さに魅了され、大学卒業後にアルバイト先の一角を間借りして店を出した。4年ほど経験を積んだ時、25歳のタクローさんはある選択をする。オーストラリアのメルボルンに移り住み、現地のカフェで働くことにしたのだ。
働き口のあてはなく、しらみつぶしにカフェをまわった。「履歴書を100枚くらい配った頃、何とか働く店が決まりました。でも最初の店は一週間でクビになり、すぐ次の店を探しました」。結局、1年間で働いた店は7~8店舗。それぞれの店の仕事を覚え、2020年に帰国した。その約1年後、柳ケ瀬商店街にオープンしたのが「Takuro Coffee」である。
気負うことなく、その時に良いと思った方向に進む。そんなスタイルで、タクローさんは自分の道を見つけてきた。「僕はお金も何もなかったですが、それでも今こうして店を持っています。下の世代の人たちにも、『行動すれば何かができる』と思ってもらえたらうれしいですね。そして、柳ケ瀬がもっと賑やかになってほしいと思います」。コーヒー、お酒、音楽、店主との語らい。コロナ禍にあっても、リアルな何かを求める人がこの店にやってくる。自然体を貫く若き店主が、次の時代の柳ケ瀬を動かそうとしている。
■Takuro Coffee
2021年2月にオープン。自家焙煎のスペシャルティコーヒーのほか、ラテやチャイ、アルコールも楽しめる。週末に開催される音楽イベントなど、楽しみ方は多様。「コーヒーが好きな人や音楽が好きな人、いろんな人に来ていただけたら」とタクローさん。
【住所】岐阜市神室町1-37-10
投稿日:2022.01.05 最終更新日:2023.12.07