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LiSAさんインタビュー

LiSAさんインタビュー

自分にとって大事なものは、岐阜で育てられたと思っています。

「エエトコタント岐阜市2023」の巻頭ページで、アーティストLiSAさんへのインタビューが実現しました! 岐阜市の高校のご出身だというLiSAさんは、高校卒業後も市内のライブハウスなどで音楽活動に力を注いだそうです。その頃の経験や人のつながりが、ご自身のベースになっていると語っていただきました。

日本武道館に行ってからじゃないと岐阜に帰れない

LiSAさんは、岐阜市にはどんな思い出がありますか?

子どもの頃、母にデパートに連れていってもらうのがうれしかった思い出があります。あと、金華山の近くのカフェで毎週ジャズなどのライブがあって、母に連れられてよく行っていました。

高校は岐阜市内に通われていたと聞きました。その頃よく行かれた場所はありますか?

高校が岐阜駅に近かったので、駅の方まで出て音楽活動をしていました。駅の隣にあるハートフルスクエアーGのスタジオを借りてリハーサルやライブをしたり、その裏の広場でストリートライブをしたりしていました。
また、当時は音楽とファッションがすごく近かった時代で、お洋服屋さんが企画するライブやイベントもありました。そういうお店や岐阜のライブハウスには、今もよく行きます。実は先日も岐阜に帰っていたんですよ。

何というお店に行かれるんですか?

お洋服屋さんは、玉宮町にある「Captain Street(キャプテンストリート)」、ライブハウスは柳ケ瀬にある「ANTS(アンツ)」によく行きます。事前に何も言わず、ふらっと遊びに行くんです。チケットを買って地元のバンドの子たちがやっているライブをのぞいたりします。店のオーナーなど先輩の方たちは、私が今こうして活動できていることをすごく喜んでくれています。

LiSAさんにとって思い出深い場所なんですね。

そうですね。ライブハウスで音楽を教えてもらうなど、学校とは違った学びの場でした。また、ファッションについても、新しいカルチャーを知るためにショップに行き、そこで友だちや仲間ができるという経験をしました。今も岐阜にそういう場所があることが、すごくありがたいと思います。

LiSAさんインタビュー

地元にいる時はずっと、「いつか東京に行く」と思っていましたか?

いいえ、思っていませんでした。東京ってドラマとかに出てくる遠い場所だと思っていて、自分にとって夢のような話でしたね。でも21歳の時にバンドが解散することになって、自分の道を決めなくてはいけない時に「どうしようかな」と考えて、勝負をしに東京へ出ようと初めて思いました。

強い意志を持って東京に出てこられたんですね。

LiSAさんインタビュー03そうですね。私の場合は特に、家出して東京に出てきたので、「なかなか(簡単には)帰れないぞ」と思っていました。何か一つ成し遂げないと、岐阜で応援してきてくれた先輩や仲間に顔向けできないという気持ちでした。自分がデビューした時に最初に決めた目標が日本武道館だったので、そこに行ってからじゃないと岐阜には帰れないと思いました。

その目標を叶えて日本武道館のステージに立たれたのはいつですか?

2014年です。ただ、初めての武道館は私自身すごく悔しい思いをしたんです。で、その翌年にリベンジで2daysをやったのですが、その武道館の時は……何だろう。「自分の夢が叶った!」というより「安心した」という感じだったと思います。「ちゃんとやり遂げられた」「応援してくれた皆さんにちゃんと顔向けできた。良かった」という気持ちでしたね。

LiSAさんインタビュー02
目の前の人に喜んでもらうために進化し、そういう自分にワクワクし続けたい。
派手なものはないけど、岐阜には何でもある

普段お仕事をする中で、何に一番喜びを感じますか?

やっぱり、目の前の人が喜んでくれることです。ライブもそうですし他の活動もそうですが、自分を応援してくれている人たちが喜んでくれることが、すごく私のモチベーションになっています。小さなライブハウスでお客さんが少なかった時も、場所が東京や海外に変わった後も、本当に何も変わらないです。

お仕事をする上で特に意識しているのはどんなことですか?

少し大きなことを言うなら、「進化し続けること」です。勉強し続けることや、探し続けること。時代がどんどん変わっていくので自分もちゃんと進化し、新しい何かを感じ続けたいと思います。やっぱり10年続けていると、「超えなければいけないもの」がどんどん減っていくというか。たくさんの夢を叶えさせてもらったので、「次どこに行こう?」という行き先がけっこう難しくて。だけど、目の前の人に喜んでもらうためには、自分がちゃんと進化してクオリティの高いものを見せる必要があります。進化し続けることや、そういう自分にワクワクし続けることをしていきたいと思います。

LiSAさんインタビュー04

改めて岐阜市について質問します。岐阜市はどんな魅力のあるまちだと思われますか?

特に贅沢なものや派手なものがあるわけではないですが、岐阜には何でもあると思います。そのなかで私が一つ誇りたいのは、水がきれいなことです。水がきれいなところは水がおいしいので、ご飯もお酒もおいしいですよね。

岐阜の「人」については、どんなことを感じられますか?

職人肌の人が多くて素晴らしいものを作っているし、すごくいいものがたくさんあります。謙遜する人が多いですが、もっと威張ってもいいくらいだと思います(笑)。こだわりを持っているけど、自分のこだわりを人には押し付けない。そういう人が多い気がします。

LiSAさんも実はそういうタイプだったりしますか?

そういうタイプですね。岐阜の皆さんと私が同じだとしたら、「自分から押し付けてまで分かってもらおうとはしないけど、分かってくれたらすごくうれしいな」という気持ちだと思います。

LiSAさんにとって岐阜はどんな場所ですか?

自分にとって大事なものは、岐阜で育てられたと思っています。地元の関市でミュージカル教室に行って歌の練習をしたことや、岐阜市のライブハウスでライブ力を培ったことなど、岐阜で学んだことがすごく今の自分に活きています。

「エエトコタント2023」は、「描く」というテーマを設定しています。夢を描いている岐阜の若者に、メッセージをお願いします。

岐阜にもいろんなことを経験したり勉強したりできる環境があるので、それを誇りに思ってほしいと思います。自分が培ってきたことに自信を持ってほしいし、その先に(新しいことに)勝負したくなったら、夢を叶えに一回勝負しに行ってもいいんじゃないかと思います。

今後、岐阜市や岐阜の人に期待することは何ですか?

先ほどお話ししたように、私の友だちが岐阜でたくさんお店をやっていたりします。そうして地元に「帰れる場所」を作っておいてくれるのは、地元から出てしまった私たちからするとすごくありがたいことです。
岐阜で何かをやっている人たちは、地元に恩返しをしたくてがんばっているのではないかと思います。皆さんが恩返しをしている場所があり、私もそこに会いに行ける。みんなが居場所を作ってくれている感じがするので、そういう場所をぜひ守ってほしいと思います。

LiSAさんインタビュー05
LiSAさん■ LiSAさん
岐阜県関市出身。数々の人気アニメ主題歌を担当し、国内外でヒットを記録。2020年秋にリリースした「炎」は「第62回輝く!レコード大賞」にて、「日本レコード大賞」を受賞。圧倒的な熱量を持つパフォーマンスと歌唱力、ポジティブなメッセージを軸としたライブは瞬く間に人気を集め、アニソンシーンにとどまらず、数多くのロックフェスでも活躍するライブアーティストとして、その存在感を示している。2022年11月16日に自身6枚目となるフルアルバム「LANDER」をリリース。


公益財団法人 国際文化会館■ 公益財団法人 国際文化会館
ロックフェラー財団をはじめ国内外の諸団体の支援により1952年設立。多様な世界との知的対話、政策研究、文化交流を促進し、自由で、開かれた、持続可能な未来をつくることに貢献している。1955年に竣工した本館の設計には、岐阜県出身の建築家・坂倉準三も携わっている。
【住所】東京都港区六本木5丁目11-16

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