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2024年

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特集 岐阜市暮らしの編集部コラム Vol.3「柳ケ瀬を面白がる暮らしのススメ」

特集 岐阜市暮らしの編集部コラム Vol.3「柳ケ瀬を面白がる暮らしのススメ」

岐阜市にゆかりのある市民ライターのみなさんが、岐阜市でのお気に入りの過ごし方や、大好きな場所、魅力に感じていることなどを綴るコラムです。 今回は岐阜市の柳ケ瀬商店街にあるまちづくり会社に勤める福富梢さんのコラムをご紹介します。 《PROFILE》 福富 梢 KOZUE Fukutomi/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社勤務 岐阜市出身。静岡県浜松市の大学に進学し一人暮らしをするも、2年生の時に自宅通学に切り替える。再度、岐阜市に拠点を移した後、友人たちと高校の部活から続けている演劇の活動に取り組む。2022年4月、柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社に入社し、10年続くサンデービルヂングマーケットの運営業務のほか、直営ショップ「サンビルストア」の運営や、岐阜市との連携業務を行っている。   柳ケ瀬を面白がる暮らしのススメ 〜夜呑みからモーニング、そして出社まで〜   「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」という、名前が全てを物語る会社で働いています。その名の通り、柳ケ瀬商店街を中心とするエリアをフィールドにしたまちづくり会社です。私は地元がこの辺りなので、小さい時から母に連れられてよく、柳ケ瀬に遊びに来ていました。今は実家を出ていますが、さらに柳ケ瀬に近いところで生活しています。 “柳ケ瀬で暮らし、働く”という生活になったことで、まちを楽しむ力がかなり鍛えられたように思います。車も持ち合わせていないので、生活圏は徒歩の範囲になります。物を買うにも、ご飯を食べに行くにも柳ケ瀬や、隣の美殿町商店街周辺だったりします。すると必然的に、まちを楽しむための解像度がぐんと上がるんです。   まちは飛び込んだ後が一番面白いと思っています。ただ通りすぎるだけだったお店が、「ママや大将がいるあのお店が好き」とか、「あそこの◯◯さんにそろそろ会いに行かないと」と思うようになり、まちに愛着が湧いてきました。 知り合いもどんどん増えるので、通りを歩くだけで声をかけてもらったり、お菓子だったりお団子をいただけたりする日もあります。 私は利用するお店の皆さんに、「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」で働いていることを必ず伝えるようにしています。すると段々、まちの人たちに、会社のことや自分自身のことを見守ってもらっているような感覚になってくるんです。   仕事後の夜の楽しみ   仕事が終わると、柳ケ瀬にある居酒屋やバーへ出かけます。中でも「菊川酒蔵」さんは、通称「夜のファミレス」と呼ばれています(かなり狭いエリアでの通称です)。お店に入るとすぐに、店長さんの「はーーーい!!!いらっしゃい!!!!!!」という元気な声が聞こえてきます。   この日は、演劇の稽古をした後にメンバーとお店へ。1人呑みも大好きですが、みんなで呑むのも大好きです。菊川酒蔵さんでは、定番メニューはもちろん、お店独自のユニークで美味しいメニューも多くあります。 ちなみに、よく頼むメニュートップ3はこちらです。 こんから(こんにゃくの唐揚げ) なすの肉詰め マグロアボカド 菊川酒蔵さんはお店を利用すると必ず1人は知り合いがいます。夜の柳ケ瀬を楽しむなら必ず通らなければならない、いわゆる通過儀礼のためのお店と言っても過言ではありません。   出勤前のモーニングから、また1日がはじまる 岐阜市はモーニング文化が根付いているまちです。私も特に、他の場所から遊びに来てくれた人には必ず、「じゃあ明日の朝、モーニング行きましょう!!」とお誘いしています。私は呑んだ次の日はモーニングへ行きます。むしろ、呑んでモーニングに行くまでがセットだと言い切っています(笑)。 「Speech Balloon」さんは、普段から利用させていただいているお店です。 柳ケ瀬商店街内のお店のモーニングは、サラダ、トースト、ゆで卵など、スタンダードなメニューのお店がほとんどなのですが、Speech Balloonさんは全てを覆してきます。 トーストにパスタ、オニオンフライ、サラダ、茶碗蒸し、そしてフルーツゼリー!ドリンク代(コーヒー450円)にプラス50円でこのボリュームなんて、信じられないモーニングです。オニオンフライも魅惑のおいしさですが、とにかく美味しい謎のパウダーがかかっているパスタが魅力的です。 モーニングでお腹いっぱいになってから、お店の方の「行ってらっしゃい〜」の声に見送られて、柳ケ瀬へと出勤します。 小さい時、母に連れられていた時ももちろん楽しかったことには変わりませんが、年齢や生活スタイルに応じて、岐阜市のまちのお店や柳ケ瀬商店街で楽しめることが増えた今も、とっても楽しいです。ただ、まだ開拓し尽くせたとは言えません。名だたる先輩方の楽しみ方を見ると、まだまだ自分には伸び代があるのだと、ワクワクします。これからの“柳ケ瀬暮らし”も楽しみです。   DATA<菊川酒蔵> 住所 岐阜市柳ケ瀬通2-17 江戸ッ子ビル2F 営業時間 17:00〜22:00 定休日 月曜 TEL 058-265-5150 DATA<Speech Balloon> 住所 岐阜市長旗町1-4-1 営業時間 7:00〜17:00 定休日 日曜 TEL 058-262-0045        

特集「Not? Special GIFU TOUR」Vol.2

特集「Not? Special GIFU TOUR」Vol.2

 2024年8月に開催された、岐阜市の暮らしの魅力を市外の方々に紹介するツアー「Not? Special GIFU TOUR(ノット?スペシャルギフツアー)」。岐阜市で暮らす案内人が市外に住むゲストの方々を案内し、岐阜市での“特別ではない毎日”をリアルに体感していただくツアーです。 そんなツアーの第2回が、2024年10月に開催されました! 第2回の案内人は、インスタマガジン「gifu diary」の運営や、住まいに関する情報発信・サポートを行うフリーランスの今尾剛さん。岐阜市の柳ケ瀬エリア出身で、岐阜市の暮らしを楽しみながら仕事と子育てを両立しています。 そしてゲストは、名古屋を拠点にスタイリングやデザイン、飲食店の運営などを手掛ける「MAISONETTE inc.」代表・山本雄平さんと、名古屋市内にあるヘアサロン「CLENN(クレン)」のオーナー・弓さん。仕事と子育てに日々奮闘するゲストのお二人に、今尾さんが岐阜市での暮らしやおすすめスポットを案内するツアーの模様をレポートします!       最初に訪れたのは、岐阜市内に4店舗を構える人気のベーカリー「rustico(ラスティコ)」。その4店舗目として2018年にオープンした川原町店は、風情ある町並みの中に佇む古民家を改装した洗練された内装が魅力です。 撮影:山本さん   rusticoといえば、14時まで注文できるボリューム満点のモーニングが人気!ドリンクを注文すれば、3種類のパンが味わえるプレートが無料でついてきます。また+200円で6種類のパンが味わえ、グループで訪れると一人ずつパンの内容が異なっているのもポイントです。 撮影:山本さん   今尾「岐阜市ではいろんなお店でモーニングが楽しめますが、『gifu diary』の読者に圧倒的に人気があるのがrusticoさんのモーニングなんです!」 山本「朝から大満足のボリューム!休日に、家族でゆっくり訪れたいなと思います」 DATA<rustico4> 住所 岐阜県岐阜市玉井町12 営業時間 8:30〜17:00 定休日 無休 駐車場 あり URL  https://www.instagram.com/r_u_s_t_i_c_o/       美味しいモーニングでお腹を満たし、次に向かったのは岐阜公園と金華山の山頂駅を約4分で結ぶ「ぎふ金華山ロープウェー」。 撮影:山本さん   晴れた日には360°ガラス張りのゴンドラから、金華山の自然林、長良川、岐阜市の街並みや濃尾平野が一望でき、四季折々の景色を楽しめます。 当日はあいにくの雨模様でしたが、幻想的な写真が撮影できました! 展望レストランからの夜景(提供:ぎふ金華山ロープウェー)   また、ゴールデンウィークと7月〜11月は期間限定でナイター営業も実施しています。山頂にある展望レストラン「ル・ポン・ドゥ・シェル」では、岐阜市街の明かりが煌めく夜景を眺めながら食事を楽しむことができます。 山本「長良川と金華山、中心市街地と自然との距離の近さが岐阜市の魅力ですよね」 弓「雨で視界が白く覆われた景色も、幻想的で良かったです!次は晴れている時にまた訪れたいです」 DATA<ぎふ金華山ロープウェー> 住所 岐阜県岐阜市千畳敷下257 営業時間 9:00~17:00 ※時期によって営業時間が変動します。詳しい営業時間はこちらをご覧ください。 定休日 無休 ※2/18(火)2/19(水)は施設点検整備のため休業。 駐車場 あり(300円) URL  https://www.kinkazan.co.jp/       金華山から市街地へ戻り、お昼に向かったのは岐阜市文化センターの一角にあるアジア料理店「green yang」。 撮影:山本さん ランチは特製担々麺、シンガポールチキンライス、グリーンカレーなどがあり、そこに前菜や点心が加わった「ミニ飲茶コース」が人気です。お店はセントラルパーク金公園に隣接していて、店内にも心地良い風が入ってきます。外にはテラス席も用意されているので、公園で子どもを遊ばせながらゆったりランチを楽しむのもおすすめです。 山本「ミニ飲茶コースは大満足の内容!晴れている日はテラス席も気持ちよさそうです」 DATA<green yang> 住所 岐阜県岐阜市金町5-7-2 文化センター1F 営業時間 火〜土11:00~22:00、日11:00~21:00 定休日 月曜日 駐車場 なし URL https://www.instagram.com/green___yang/       green yangの隣に広がる公園が、2023年3月にリニューアルした「セントラルパーク金(こがね)公園」。広大な芝生広場をはじめ、公園を見渡せる「小高い空間」や大小さまざまなベンチ、噴水などがあり、のびのびと過ごせる新しい憩いの場です。週末にはマルシェなどのイベントが開催されることも。セントラルパーク金公園を抜けると見えてくるのが「金神社」。高さ8mの金色の鳥居が目印です。 金神社は金運や商売繁盛のご利益があるとされ、特に初詣の時期や金の御朱印がもらえる毎月最終金曜日には多くの参拝者で賑わいます。 山本「まちに公園があるって大事ですよね。広い空間でのびのびと過ごせそうです。」 今尾「遊具ばっかりじゃなくて、芝生の空間がゆったりと広がっているのが良いですよね。金神社は県外からの参拝も多いですよ」 DATA<セントラルパーク金公園> 住所 岐阜市金町5-7 営業時間24時間 休園日 なし 駐車場 なし(近隣コインパーキングを利用) URL  https://www.city.gifu.lg.jp/info/machizukuri/1007994/1008005/1016166.html <金神社> 住所 岐阜市金町5-3 参拝時間 24時間 駐車場 あり(参拝の方のみ) URL  https://koganejinjya.com/       金公園、金神社に立ち寄った後、すぐ北にある柳ケ瀬商店街へ。次の目的地は、「柳ケ瀬グラッスル35」の4階にある岐阜市柳ケ瀬子育て支援施設「ツナグテ」。有料の「きっずエリア」と無料の「ふぁみりーエリア」があり、きっずエリアには「きんかざんクライミング」「ながらがわボールプール」「ぎふじょうパノラマネット」など、たくさんの大型遊具や工作体験スペースが広がります。 ふぁみりーエリアの本棚には、子ども向けの絵本や親向けの書籍が並びます。また、「あずかルーム」では未就学児を3時間まで有料で預けることができます。 今尾「僕も頻繁に利用していて、子育てをしている親にとって、とてもありがたい施設です!実家が柳ケ瀬にあるので、母親に子どもをツナグテへ連れて行ってもらって、妻と二人でお出かけすることもよくあります」 弓「雨の日や夏の暑い日も天気を気にせず、のびのび過ごせる場所ってなかなかないから、ありがたい存在ですね!」 DATA<岐阜市柳ケ瀬子育て支援施設ツナグテ> 住所 岐阜市徹明通2-18 柳ケ瀬グラッスル35 4階 営業時間 10:00~18:00 ※最終入場は17:30 定休日 毎月最終木曜日、年末年始 ※臨時休館日あり 駐車場 なし(近隣コインパーキングまたは柳ケ瀬グラッスル35の駐車場を利用) URL  https://www.city.gifu.lg.jp/tsunagute/index.html       続いて向かったのは、「柳ヶ瀬」のバス停の目の前にある「ツバメヤ」。 撮影:弓さん   名古屋や東京にも店舗を構え、全国にファンを持つ和菓子屋「ツバメヤ」の本店で、赤いツバメのロゴマークが目印です。香ばしい深煎りのきな粉を使った看板商品の「ツバメわらび」をはじめ、石臼挽き小麦全粒粉と特別栽培小豆と粗糖で炊き上げたあんこで作る「大地のどらやき」、国産よもぎをたっぷり使った「草もち」など、素材の美味しさを活かした手作りの和菓子が人気。自宅用だけでなく、市外や県外の方への手土産に利用されることも多いそう。 弓「手土産を買うのにぴったりの素敵な和菓子屋さん。『もちもちどらやき』は素朴な美味しさで、とっても気に入りました!」 DATA<ツバメヤ> 住所 岐阜県岐阜市神田町4-13 営業時間 9:00~18:00 定休日 月曜日 駐車場 なし(近隣コインパーキングを利用) URL  https://tsubame-ya.jp/       柳ケ瀬商店街を抜け、一行はすぐ東にある美殿町商店街に向かいます。 川島」は、2020年に美殿町商店街にある「まちでつくるビル」の1階にオープンしたパティスリー。大きな石の什器がインパクト抜群で、店内には20種類以上の焼き菓子やジャムが並びます。定番人気は発酵バターサブレやカスタードプリン。夏はグラスエソルベ(アイスクリーム)、冬はビーントゥーバーチョコレートやボンボンショコラといった季節限定の商品も見逃せません。何度訪れても驚きや発見を与えてくれる、探究心とこだわりが詰まったお菓子づくりをされています。 弓「ガラス張りで洗練されたお洒落な空間に、扉を開ける前からドキドキ!お菓子はもちろん内装や紙袋までこだわり抜かれていました」 DATA<川島> 住所 岐阜県岐阜市美殿町17 営業時間 12:00~18:00 定休日 月曜日、火曜日 駐車場 なし(近隣コインパーキングを利用) URL  https://kawashimayuri.com/         最後は、案内人の今尾さんが市外の人を案内する時に必ず訪れるという「みんなの森 ぎふメディアコスモス」へ。市立中央図書館や市民活動交流センター、展示ギャラリー、ホールなどから構成される岐阜市の複合文化施設です。図書館では本を読んだり、調べ物をしたりするのはもちろんのこと、「持込みパソコン利用席」があり、テレワークなどのPC作業をするのにも便利です。 児童エリアも充実し、子どもの頃から豊かな読書体験ができます。 撮影:弓さん   今尾「第二の仕事場として、集中して作業がしたいときに利用したり、休日に子どもを連れてきて家族で過ごしたりと、頻繁に利用しています」 山本「フリーランスの人はコワーキングスペースのように使えて良いですね!」 弓「子どもから大人までいろんな人が利用しているのに居心地がとっても良い!自分が子どもだったら、こんな素敵な図書館が地元にあったら自慢したくなります!」 DATA<みんなの森 ぎふメディアコスモス> 住所 岐阜県岐阜市司町40-5 営業時間 9:00~21:00 ※市立中央図書館は9:00~20:00 定休日 毎月最終火曜日 ※祝日の場合は翌日、年末年始と重なる場合は前週の火曜日、年末年始 駐車場 あり(30分/100円 ※館内利用者は入庫後2時間まで無料) URL https://g-mediacosmos.jp/ ツアーを終えて こうして今尾さんの案内によるツアーが終了。お二人に1日の感想を伺いました。 山本さん「1回目は自然の風景やまちとの距離感を体感するツアーでしたが、今回は岐阜市のお洒落な一面をたくさん知ることができました。いわゆる“田舎暮らし”で連想されるようなスローライフではなく、“洗練された日常をゆったり楽しむ”という岐阜市ならではの暮らしの楽しみ方があると感じました」 弓さん「rusticoのモーニングから始まり、金華山からの景色、公園を眺めながらのランチ、手土産にぴったりなお店など、岐阜市には、暮らしの中に取り入れることで毎日が豊かになるような素敵な場所がたくさんあることを知ることができました。中でも一番気に入ったのは、やはり『ツナグテ』。天候に左右されず、子どもと楽しく一日中過ごせる場所は他にはないと思います!」   実際のツアーの様子はこちらの動画をご覧ください。※第1回のレポート記事はこちら:https://cool-gifucity.jp/iju_feature/p11411 ※第1回のツアームービーはこちら:https://www.youtube.com/watch?v=ZyiKyOiiT3g            

特集 岐阜市暮らしの編集部コラム Vol.2 「岐阜市で楽しむアートな暮らし」

特集 岐阜市暮らしの編集部コラム Vol.2 「岐阜市で楽しむアートな暮らし」

岐阜市にゆかりのある市民ライターのみなさんが、岐阜市でのお気に入りの過ごし方や、大好きな場所、魅力に感じていることなどを綴るコラムです。 今回は岐阜市で生まれ育った河合ほのかさんのコラムをご紹介します。   《PROFILE》 河合 ほのか HONOKA Kawai 岐阜市生まれ。高校生までを岐阜市、大学時代を京都で暮らし、コロナを機に岐阜市へUターン。現在は、岐阜市と職場がある各務原市を往復する生活を送る。   意外と身近に文化はある。   子どもの頃を思い返すと、小学生の頃は放課後に美術館や科学館へ遊びに行ったり、高校生になると通学ルートの途中に市立中央図書館がある複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」がオープンし、友達と待ち合わせをして通ったりしていた。 それが当たり前だと思っていた環境も、大人になると文化に囲まれた恵まれたまちに暮らしていたのだと感じるようになった。社会人になった今も、何か新しい発見を探しに、岐阜県美術館へ足を運ぶことがある。     今日はどんな出逢いがあるのだろうか。 “文化”と聞くと感度高めなイメージがあるかもしれないが、最近はSNSで施設のイベントの情報が得られ、講座の種類も豊富で、文化施設の敷居が低くなった気がする。 特に予定もない休日は、朝はゆっくり起きて、午前中はジムで体を動かし、午後はフラフラと外の空気を吸いに出かける。     この日訪れた県美術館では、館長の日比野克彦さんの展示が行われていた。日比野さんと言えば、「こよみのよぶね」。岐阜市を流れる長良川の冬の風物詩といえるアートプロジェクトだ。小さい頃にこの県美術館で「こよみのよぶね」のワークショップに参加したな、と思い出に浸っていると、あっという間に夕方に。   コーヒーを片手に、帰路に着く。仕事中はパソコンと睨めっこばかりだから、緑に触れる時間が大切だなぁとしみじみ。   岐阜市のアイデンティティ、金華山。 家に帰る道の途中で、金華山が見えた。岐阜市内の学校の校歌には、高確率で「金華山」の言葉が入っている気がする。そのくらい“岐阜人”にとって金華山は身近な存在ではないだろうか。   金華山が見える方向で現在地がだいたい分かったり、遠出して岐阜市に帰ってきた時に金華山が見えるとホッとしたり。金華山の存在が、謎の安心感を与えてくれる。都会すぎず、田舎すぎない岐阜市は、私にとって居心地が良いまちなんだろうなぁ。   明日からの仕事に備えて“ご自愛”を 家へ到着。小腹が空いたので果物なら罪悪感が少ないと暗示をかけ、柿をムシャムシャと食べる。特別なことをしなくても、平凡に過ごす時間が、私の“ご自愛”タイムなのだ。さあ、明日からも仕事頑張ろう!     DATA<岐阜県美術館> 住所 岐阜市宇佐4-1-22 開館時間 10:00〜18:00 休館日 月曜(祝・休日の場合は翌平日) URL  https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/    

特集 岐阜市暮らしの編集部コラム Vol.1 「長良の豊かな暮らし 珈琲から始まる朝」

特集 岐阜市暮らしの編集部コラム Vol.1 「長良の豊かな暮らし 珈琲から始まる朝」

岐阜市にゆかりのある市民ライターのみなさんが、岐阜市でのお気に入りの過ごし方や、大好きな場所、魅力に感じていることなどを綴るコラムです。 今回は岐阜市に移住して4年目の南部美乃さんのコラムをご紹介します。 《PROFILE》 南部 美乃 YOSHINO Nanbu /デザイナー 神奈川県出身。21歳から、東京でグラフィックデザイナーとして約20年過ごす。岐阜に親戚などがいるわけではなく、岐阜の地理的な場所もはっきり知らなかったが、名古屋に仕事で来た時に岐阜市長良在住の友人に言われた「岐阜にこやー」※の一言をきっかけに長良にハマる。2021年4月、長良に一緒に住める旦那さんをお見合いサイトで見つけ、3ヶ月で即移住。長良での豊かな暮らしが大好きな岐阜市在住4年目。 ※「こやー」とは岐阜弁で「来やあ」、つまり「おいで」という意味   長良の豊かな暮らし 珈琲から始まる朝 友人に誘われて、初めて岐阜市長良という場所を訪れました。名古屋駅からJRの快速で20分、岐阜駅でバスに乗り換え15分で、いきなり現れる急な大自然!!この山(金華山)と城(岐阜城)と長良川の美しさに衝撃を受けました。 長良川の風に当たり、「いつか(10年くらいの間に)ここに住みたい」と感じていました。その時はまさか、その後半年で移住しているとは思ってもみませんでしたが……。住まいはもちろん、長良川のここ(長良川プロムナード)に自転車で来られることを必須条件で探しました。 毎日長良川と金華山を見て、出会った人とおしゃべり 岐阜の喫茶店はモーニング文化が根付いていると噂は聞いていたけれど、車も、土地勘もなく、好みの喫茶店を見つけられずにいました。移住して1 年、なかなか友人ができないことだけは少し寂しく感じていた時、長良川までの散歩の道すがらにある建物にノボリを発見。「おいしい珈琲」という文字が私の目には、「ここにおいで!!」と見えました。 そこは「&n(アンドン)」という築70年の木材倉庫を利用した3階建ての建物で、お花屋さん、イタリアンレストランなど複数のお店が入居する複合施設でした。その一角で、晴れた平日の午前中(9時から12時ごろ)という、私の朝の散歩時間ぴったりに営業している「MIGI COFFEE STAND」さんと出会ったことで、金華山と岐阜城を見ながら美味しい珈琲を飲んで1日が始まる、長良での豊かな暮らしがスタートしました。  岐阜市に来てからの大きな変化は、早寝早起きの生活になったこと。ゆっくり話ができる時間、誰かに出会える場所は大切です。今ではこの場所が、地域の方や移住者が交わるコミュニティーになっています。 「あんどん楽市」が行われる毎月第2日曜に私と友人が開催している、使っていないモノを次の人へ繋げる場としての交換会「ぶつぶつ交換」や、移住者と地元の人が交わる場所として始めた「移住カフェ(ランチ会)」のアイデアも、この丸テーブルでの会話から生まれました。 MIGI COFFEE STAND の右高さんも、実は20 年ほど前に名古屋、東京、山梨、飛騨の山を回って岐阜市長良に巡り合った移住者です。 「おいしい珈琲と、金華山、長良川。長良って素晴らしいね!!」と、ここで出会う方と一緒に感じられることが幸せです。 DATA<MIGI COFFEE STAND> 住所 岐阜市長良45-1 営業時間 9:00〜12:00頃 定休日 土・日曜(第2日曜は営業) 駐車場 なし Instagram https://www.instagram.com/migicoffeestand/ DATA<&n> 住所 岐阜市長良45-1 駐車場 なし URL https://and-n.info/ Instagram https://www.instagram.com/and_n_ukaiya/                                                                                                                           

特集「Not?Special GIFU TOUR」Vol.1

特集「Not?Special GIFU TOUR」Vol.1

2024年8月某日、岐阜市の暮らしの魅力を市外の方々に紹介するツアーが開催されました。 その名も、 「Not? Special GIFU TOUR(ノット?スペシャルギフツアー)」! 「Not? Special GIFU TOUR」とは、岐阜市で暮らす案内人が市外に住むゲストの方々を案内し、岐阜市での”特別ではない毎日”をリアルに体感していただくツアーです。 第1回の案内人は、美殿町に拠点を持ち建築デザイン、まちづくり、シェアハウスの運営など多様な活動をする建築設計事務所「ミユキデザイン」の代表・末永三樹さん。16年前に岐阜市内に移住した末永さんは、現在長良川沿いに暮らし、一児の母として子育ても行っています。 そしてゲストは、名古屋を拠点にスタイリングやデザイン、飲食店の運営などを手掛ける「MAISONETTE inc.」代表・山本雄平さんと、東京を拠点に日本・世界各地を駆け巡るフリーランスの写真家の小澤彩聖(あやと)さん。 名古屋・東京を中心に大都市圏で活躍するお二人を招き、末永さんが暮らし、仕事、子育て…とさまざまな視点から岐阜市での日常を案内したツアーの模様をレポートします! まず訪れたのは、JR岐阜駅から車を10分ほど走らせた場所にある「伊奈波神社」。 創建から1900年以上の歴史があり、地下には長良川の伏流水が流れる自然豊かなこの神社はパワースポットとしても知られ、背筋がスッと伸びるような澄んだ空気に満ちています。 岐阜市での暮らしの中で、自然と街の近さに大きな魅力を感じている末永さん。本殿までの長い階段を登り、そこから見下ろす岐阜市街の景色を、ツアーの最初に見てほしかったのだといいます。 末永「伊奈波神社は市外の人を案内する際に必ず連れて行くお気に入りのスポットなんです。毎朝ここでお参りしてから出勤するという友人もいますよ」 山本「駅からわずか10分でこの景色!市街地とはガラリと雰囲気が変わりますね」 DATA<伊奈波神社> 住所 岐阜市伊奈波通り1-1 拝観時間 24時間 駐車場 あり(無料) URL https://www.inabasan.com/ 次に向かったのは、JAぎふが運営する大きな直売所「おんさい広場」。 地元の生産者が栽培した新鮮でおいしい野菜のほか、つきたてのお米や手作り米粉パン、漬物、味噌、お花などが揃います。 末永「東京や名古屋の中心部で生活していると、こんなに大きな市場に足を運ぶことはないのでは?普通のスーパーにはない珍しい野菜も並ぶので、見ているだけでも面白いですよね」 小澤:「地域色が強く出ていて、道の駅のように楽しめますね!」 DATA<おんさい広場鷺山> 住所 岐阜市下土居212-2 営業時間 9:30~17:00 ※日曜日・祝日は9:00~17:00 定休日 無休 ※年末年始を除く 駐車場 あり(無料) URL https://www.jagifu.or.jp/about/store/detail.php?id=537 美味しそうな食材を見て、そろそろお腹が空いてきた一行。 「地元の人が足繁く通う“冷やしたぬき”の名店は、今回のツアーに外せない!」と末永さんの案内でやってきたのは、連日絶えず行列ができる人気店「更科」です。 撮影:山本さん 看板メニューの “冷やしたぬき”は、そばに天かすとお揚げが乗った岐阜市民のソウルフード。甘辛いタレにお好みでわさびを溶かしながら食べるのがポイントです。 この日は末永さんのおすすめで、通常の1.5倍サイズの“ダブル”に挑戦!ボリューム満点ですが、お二人はペロリと平らげていました。 小澤「店内の賑わいや老舗ならではの店の雰囲気に圧倒されました!僕は “人に案内したい場所”があるかという視点で街を見ているのですが、ここはまさにそんな場所ですね」 DATA<更科> 住所 岐阜県岐阜市京町3-4 営業時間 10:30~18:00 ※ラストオーダー17:45 定休日 木曜日、1月1日〜3日 駐車場 あり(無料) URL https://www.tanuki-soba.com/ 続いて向かったのは、川辺から「ぎふ長良川の鵜飼」が眺められる遊歩道「長良川プロムナード」。末永「長良川の北側からは金華山と長良川が一緒に眺められて、私はこの景色がとても好きなんです」 長良川の南側に住んでいる末永さんは、休日にこうして自宅の対岸まで歩き、長良川プロムナード沿いにある旅館「鵜匠の家 すぎ山」をはじめ、近隣の宿泊施設の日帰り温泉を利用して、ロビーや露天風呂から長良川の風景を楽しんでいるのだそう。 撮影:小澤さん 山本「この景色が日常にあるのが羨ましい!『鵜匠の家 すぎ山』さんの温泉に入ってから、1階のラウンジで珈琲を飲みながら仕事ができたら最高ですね」 小澤「東京で言うと“奥多摩”とか、都心から離れた場所までいかないと見られない景色。それが市街地から自転車でも来られる距離にあるというのはとても魅力的です」 DATA<鵜匠の家 すぎ山(日帰り温泉)> 住所 岐阜市長良73-1 営業時間 11:30~14:30 ※受付14:00まで 定休日 水曜日 入浴料金 大人1,000円(中学生以上)/ 小人700円 駐車場 あり(無料) TEL 058-231-0161 URL https://www.gifu-sugiyama.com/ 長良川の風景を堪能した一行が次に訪れたのは、自家焙煎コーヒーの専門店「SHERPA COFFEE ROASTERS」。 末永「ここは私が岐阜市で一番お気に入りのコーヒー屋さん。スタッフから豆の味わいや香りの特徴を詳しく解説してもらえるので、説明を聞きながら注文を決めるのがおすすめですよ。実はお店のデザインもやらせてもらいました」 ゲストの二人も、豆の特徴を焙煎度合いとフレーバーをもとに分布した「マトリクス表」を見ながら説明を聞き、3種類を飲み比べ。 撮影:山本さん 山本「ワインを紹介するように豆を紹介してくれるところがすごく良かった。近所にあったら通いたくなるお店です」 小澤「ショップで販売されている持ち帰り用のコーヒー豆やアイスコーヒーはプレゼントにもちょうど良いですね!」 DATA<SHERPA COFFEE ROASTERS> 住所 岐阜市早田1901-6 営業時間 10:00~18:00 定休日 火曜日 駐車場 あり(無料) TEL 058-295-0136 URL https://sherpacoffeeroasters.shop/ 続いて訪れたのは「みんなの森 ぎふメディアコスモス」。市立中央図書館や市民活動交流センター、展示ギャラリー、ホールなどから構成される岐阜市の複合文化施設です。 撮影:山本さん 施設の中に入って驚くのは、公共施設とは思えない開放的で洗練された空間デザイン!世界的建築家の伊東豊雄氏による設計で、この建築を目当てに市外からも多くの人が訪れます。 特に2階の市立中央図書館には、“波打つ天井”と呼ばれる木製の格子屋根から、いくつもの大きな傘のような“グローブ”が吊るされています。 撮影:小澤さん 歴史や宗教、郷土資料が集まった「郷土のグローブ」、芸術、社会科学、自然科学の本が並ぶ「ゆったりグローブ」、市民が参加できる展示が行われる「展示グローブ」、靴をぬいで子どもたちが利用できるスペースになっている「親子のグローブ」……など、本を借りて読むのはもちろんのこと、子どもから大人まで、誰もがここで過ごすこと自体を楽しめるようなさまざまな工夫が凝らされています。 小澤「子育てや教育という視点で見ても、こんな図書館が自分の住むまちにあったら嬉しいですね」 DATA<みんなの森 ぎふメディアコスモス> 住所 岐阜県岐阜市司町40番地5 開館時間 9:00~21:00 ※市立中央図書館は9:00~20:00 休館日 毎月最終火曜日 ※祝日の場合は翌日、年末年始と重なる場合は前週の火曜日、年末年始 駐車場 あり(30分/100円 ※館内利用者は入庫後2時間まで無料) TEL 058-265-4101 URL https://g-mediacosmos.jp/ ぎふメディアコスモスを後にした一行は、美殿町にある“まちの古本屋”さん「徒然舎」へ。 末永「美殿町をクリエイターが集まる街にするために、築50年の『矢沢ビル』を改装して新しいカルチャー拠点をつくろうというプロジェクトが2014年ごろに始まり、その流れで1階に入居してくれたのが『徒然舎』さんだったんです」 2014年にすぐ隣の「殿町」からこの場所へ移転オープンした徒然舎。アート関連の書籍や学術書を中心に、暮らしの本や郷土の本、絵本などさまざまなジャンルの本が約1万冊揃います。店内は明るくゆとりを感じる空間で、古本に馴染みがない人でも入りやすい雰囲気が魅力です。 大型書店ではあまり見かけないzineやリトルプレスも充実していて、カルチャー好きのゲストのお二人は興味津々の様子。   山本「デザインやアートなど、仕事で活かせそうなジャンルの本や雑誌が充実していて嬉しい!19時まで開いているので、仕事帰りに寄ることもできますね」 末永「徒然舎ができてから、この通りで古本市が開催されるようになって。自分が暮らすまちに本屋さんがあることって、とても豊かですよね」 DATA<徒然舎> 住所 岐阜市美殿町40 矢沢ビル1階 営業時間 12:00~19:00 定休日 火曜日、水曜日 駐車場 なし TEL 058-214-7243 URL http://tsurezuresha.net/ 最後は、末永さんが仕事でも深く関わる「柳ケ瀬商店街」を訪れました。 戦後、全国でも有数の繁華街として栄えた柳ケ瀬商店街。当時の賑わいはないものの、現在は空き店舗や空き物件を活用して20代の若者世代を中心に新しいプロジェクトを始める人が増えています。 元々靴屋だった店舗をリノベーションし、大学生がギャラリーを運営する「ニュー銀座堂」や、商店街で暮らす若者世代の拠点にもなっているシェアキッチン「デイリーこやなぎ」とその2階〜4階にあるシェアハウス「アパートメントこやなぎ」、ものづくりをするクリエイターが小さなアトリエやショップを構えられる「サンビルストア」を見学。 末永さんは「若い人たちが新しいことや、やりたいことに挑戦するきっかけになるような場所をつくりたい」という思いから、「ミユキデザイン」や「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」を通して、これらの拠点づくりに携わってきました。 末永「この柳ケ瀬商店街を“買い物と娯楽”のための商店街から、“暮らし”の商店街へ変化させていきたいと思っていて、そのための拠点やきっかけづくりをしているんです」 山本「“商店街に住む”という選択肢があることが良いですね。こういう場所がたくさん増えたら、まちが面白くなりそうです!」 DATA <ニュー銀座堂> 住所 岐阜県岐阜市柳ヶ瀬通2丁目15 営業時間 11:00〜18:00 定休日 火曜日 駐車場 なし URL https://www.instagram.com/new_ginzado/ <デイリーこやなぎ> 住所 岐阜市小柳町18-6デイリーこやなぎ1F URL https://www.instagram.com/dailykoyanagi/ <サンビルストア> 住所 岐阜県岐阜市柳ケ瀬通り2丁目17番地 江戸ッ子ビル1階 営業時間 12:00-17:00 定休日 水曜日 駐車場 なし URL https://www.instagram.com/sundaybldg_stores/ ツアーを終えて こうして第1回ツアーは終了。末永さんの住まいがある長良川周辺エリアでは、長良川や自然の風景とともに過ごす “暮らし”を、仕事の拠点を持つ美殿町・柳ケ瀬周辺エリアでは若者世代を中心に面白いもの・ことが始まっていく新しい動きが紹介され、充実したツアーとなりました。 山本さん「毎日、長良川と金華山のある風景が眺められる、川沿いの暮らしが特に気に入りました。また、柳ケ瀬商店街も若者が街に根付き、何か新しいことを始めようという動きが各所で起こっていて、これからもっと面白くなりそうだと感じました!」 小澤さん「個人のお店から公共施設、商店街の動きなどを見て、岐阜市は、子どもから大人までどの世代にとっても“豊かな日常”が育まれている街だと感じました。そんな日常を“自分たちで作っていきたい!”という人には、よりフィットしそうですね。次は岐阜市での朝や夜の過ごし方も体験してみたいです!」 実際のツアーの様子はこちらの動画をご覧ください。