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はじまりは、1棟の建物との出会いだった。長良川沿いの鵜飼屋地区で約半世紀続いた木材店の倉庫。店を閉めた後、オーナーは建物を次の世代に残したいと考えた。相談を受けたのが、地元の有志団体「長良会」のメンバーである(その後、メンバー13人によって長良川リバースケープLLPが立ち上げられた)。建物を見に行くと、内部の構造が独特で何やらワクワクさせられる。その直感を信じ、ここで「何か」をしようと決めた。
「まずはみんなで掃除をして。だんだん、『これをやりたい』というアイデアが出てきました。最終的に決まったのが、お店を集めて『長良川を楽しむ拠点にしよう』という方向性です」と、立ち上げメンバーの右髙英一さんは振り返る。かくして2019年5月に誕生したのが、&n(アンドン)。「&nagaragawa」というコンセプトが名前に込められている。
事業やイベントを運営する際、メンバーが大事にしたのは、事前に構想を固めすぎないこと。毎週のミューティングで気持ちをすり合わせることは徹底したが、それ以外はあえて自然な成り行きを重視した。
現在ここで店を構えるのは、飲食店や花屋などのテナント。その個性が融合する建物内では、ふらりと訪れた観光客が地元の人と一緒にお酒を楽しむシーンも見られる。ビンテージ家具の店を営む矢田和照さんは言う。「ごちゃっとした場所にユニークな人たちが集まっているのが、この&nです。香川県出身の私から見て、岐阜は本当に面白い場所。都会の表面的できれいな文化とは違うカオスのような魅力を、まち全体から感じます」。
50年ほど前の長良川の様子を映した8mmフィルムが、温泉旅館に残されていたそうだ。そこには、長良川で泳ぐ大勢の子どもたちや、悠然と川を上る帆掛け船の姿が映っていた。「そういう景色をもう一度つくりたいと思っています。自分の子どもが大きくなった時に、誇れるものが何もないのは寂しい。それを新たにつくるのが、私たちの役目だと思います」と右髙さん。長良川の今を楽しむことと、未来に残すこと。2つの決意が、懐かしくて新しい景色を生み出そうとしている。
Shop Data
■ アンドン &n
【住所】岐阜市長良45-1
【お問い合わせ】058-338-1015
■居酒屋 うかいや食堂
長良鵜飼屋ならではの呑ん処。唐揚げ、ホルモン、どて煮など、きまぐれ店主がきまぐれメニューでおもてなしする。
【お問い合わせ】090-1728-1265
■オーダーメイドフラワー プハラ
「green&flower puhara」は、完全オーダーメイドの花屋。こだわりは“ストーリーがある花活け”。季節の新鮮な花々やマニアックなグリーンなど、心に響くアレンジをイメージや用途にあわせて提案する。
【お問い合わせ】058-260-6636
■カウンターバー BAR KAYAK
金華山を愛でながら、至福のひと時を 過ごせるバー。カナダのオーガニックワイン、厳選クラフトビールなど、こだわりのお酒を、レコードの音楽と一緒に楽しむことができる。
【お問い合わせ】050-5329-2681
■ビンテージライフスタイルショップ THE NOMAD LIFE
矢田和照さんが店主を務める、ビンテージライフスタイルショップ。日々の暮らしが時の経過とともに楽しくなるインテリアを提案。家具選びから庭づくりまで、ライフスタイル全般を矢田さんが一緒に考えてくれる。
【お問い合わせ】
[email protected]
■川魚直売店 ゆいのふね
長良川漁師平工顕太郎さんが店主の川魚直売店。長良川天然鮎ほか、岐阜の地魚、うなぎ、すっぽん、モクズガニなどを川漁師から直接購入できる。体験型「漁船ツアー」の受付カウンターも併設。
【お問い合わせ】080-8256-4295
■イタリアンカフェレストラン LA LUCANDA
オーナーシェフを務めるのは、イタリア出身のラットゥアーダ・ルカさん。店名の由来であるイタリア語LOCANDAには、「宿」という意味がある。おいしい料理とスイーツ、居心地の良い空間が魅力だ。
【お問い合わせ】058-216-4601
■プロショップ Freak
大垣市を拠点にアウトドアスポーツ用品を取り扱うショップの、SUPツアー受付カウンター。金華山や岐阜城を眼前に、優雅で開放的な水上散歩ができるSUPツアーは、老若男女問わず楽しめる。
【お問い合わせ】0584-82-2585
■アトリエ ノスタルジア・オブ・マッド
衣装作家・松田悟さんのアトリエ兼スタジオ。天井に貼られた生地、シャンデリア、一面ガラスの大きな窓が印象的な室内には、制作したコレクションや、レアなアイテムが展示されている。松田さんの感性に惹かれる空間だ。
【お問い合わせ】
[email protected]
■現代美術家 渡辺悠太
現代美術家・渡辺悠太さんのアトリエ。テーマは「生活にアートを。生活をアートに。」自身の作品をきっかけに、芸術がもっと身近で自由に楽しめるものになることを願い、創作活動を続ける。
【お問い合わせ】
[email protected]
投稿日:2022.01.12 最終更新日:2022.01.12