Visit 02 / 歴史・伝統
合成写真?と目を疑うほど、巨大な月と岐阜城が見事に調和している。この幻想的な写真は、どのようにして撮られたのだろう。「月と岐阜城」の写真を世に知らしめた写真家、小林淳さんに話を聞いた。「月の大きさはどこから撮っても変わりませんが、岐阜城は離れた場所では小さく見えます。遠近法を利用して撮影したのがこの写真です」。
小林さんが「月と岐阜城」を撮り始めたのは、2014年頃。同様の写真を撮る人は当初数名程度だったが少しずつ注目を集め、やがて全国から写真家が集まるほど人気の被写体となった。「300メートル級の山の上にポツンと城があり、それを数キロ離れた場所からも撮影できる。これだけ地理的条件が整った場所は、日本中を探しても他にありません」。
さらに小林さんは、岐阜城の歴史にも思いを馳せ、こう続ける。「斎藤道三や織田信長は、権力の誇示や戦略上の理由でこの場所に『見せる城』を築いたのだと思います。その結果、今こうして唯一無二の被写体になっていることに面白さを感じます」。小林さんの写真は、SNSを通じて世界の人に知られている。もちろん地元での注目度も高く、岐阜市の事業として「月と岐阜城」の撮影を体験できる観光客向けのツアー造成も動き出している。「写真を通じて地域の魅力を発信していきたい」と話す小林さんは、写真家として注目される存在になった今も、奇跡の瞬間を求めて現場に立ち続けている。
■小林淳さん
建築士のかたわら、写真家として活動。写真を通じて地元・岐阜の魅力を発信し続ける。行政や企業とのタイアップ実績も豊富で、月と岐阜城の写真がデザインされた「FC岐阜LIMITED UNIFORM2021」は、大きな反響を呼んだ。
投稿日:2022.01.12 最終更新日:2023.12.07