Visit 03 / 歴史・伝統
「母が接客すると、お客様が笑顔になって帰っていかれるんです。その様子が、子どもながらにとてもカッコいいと思っていました」。いつか、若女将である母を支えられるようになりたい。そう考えていた山岡彩水さんは、東京の大学を卒業後、実家が経営する長良川温泉ホテルパークに入社した。
転機が訪れたのは、入社3年目の夏。会社の組織体制が変わり、彩水さんが若女将を務めることになった。しかし、母と同じことをしようとしても、それは難しい。「自分の意識から変えていく必要があると思いました」。自分なりの若女将像として、彩水さんは各部署の社員と話し合いながら、サービスをつくり上げていくことにした。一方で、館内全体を見渡す立場として、社員が気づかない点を補う必要もある。「誰よりもおもてなしの意識を持ち、『お客様への心配り』という、マニュアル化できないものを浸透させていくことが、若女将の役割だと考えました」。
長良川周辺は、彩水さんが生まれ育った場所。川の流れも鵜飼の風景も、幼い頃からいつも日常にあった。「子どもの頃は身近すぎて実感がなかったのですが、豊かな自然と人々の暮らしが融合したこの環境はとても貴重だと感じます。私がめざすのは、長良川温泉の各施設と協力しながら、このエリアの未来を守っていくことです。岐阜の魅力を発見し、岐阜を好きになっていただけるような、おもてなしをしていきたいと思います」。
■長良川温泉ホテルパーク
1894年、名古屋大須で創業。1917年に岐阜市の長良川河畔に「旅館 港館」をオープンし、1988年から現在の名称に。現在の従業員数は120名以上。山岡彩水さんの両親が社長と女将を務め、彩水さんは2020年8月から若女将を務める。
【住所】岐阜市湊町397−2
【お問い合わせ】058-265-5211
■長良川温泉
金華山の麓、長良川沿いに7軒の旅館やホテルが立ち並ぶ「長良川温泉」。鉄分を多く含む赤褐色の湯が、体を芯から温める。周辺では「ぎふ長良川の鵜飼」の観覧や古い町並みが残る川原町の散策、斎藤道三や織田信長ゆかりの岐阜城の観光なども楽しめる。
岐阜長良川温泉旅館協同組合
【住所】岐阜市長良福光2610-4
【お問い合わせ】058-297-2122
投稿日:2022.01.12 最終更新日:2022.01.12