Visiting GIFU CITY 05
和傘専門店「長良川てしごと町家CASA」の店頭に並ぶ、華やかな和傘。その美しさに惹かれ、県外から店を訪ねる人も多いという。日本一の生産量を誇る岐阜産の和傘。しかしその事実は、最近まで多くの人に知られていなかった。「岐阜で作られた和傘の多くが、他県のブランド名で販売されていました。そのため岐阜和傘の名前が浸透していなかったのです」と教えてくれたのが、店長の河口郁美さん。2018年の開店以来、岐阜和傘のブランド化に力を注いできた。
河口さんが特に大切にしてきたのが、和傘問屋の経営者や職人との関わり。長い冬の時代を支えてきたこれらの人々は当初、「和傘は売れないよ」などと口にしていたが、心のうちでは河口さんたちの挑戦を誰よりも喜んでいた。和傘づくりはたくさんの職人の分業によって成り立っており、一人の力で完成させることはできない。その間にある苦労の跡を、出来上がった和傘から感じるのだと河口さんは言う。「職人さんや問屋さんとの関係が近く、その思いを感じているからこそ、出来たての和傘を手にした時はいつも感動します。和傘には、和紙の上に雨が落ちる音や、日傘をさした時に木漏れ日が映る様子など、洋傘にはない魅力があります。それをぜひ多くの方に楽しんでいただきたいと思います」。
未来に受け継ぐべき文化を守りたい。そして一人のファンとして、和傘に関わる人たちを応援したい。その気持ちが、河口さんを動かしている。
■長良川てしごと町家CASA
岐阜和傘の専門店として2018年5月にオープン。店長の河口さんはこの店で岐阜和傘のブランド化と産業支援に力を注ぐほか、NPO法人ORGANの職員として「長良川デパート」などの運営にも携わっている。
【住所】岐阜市湊町29
【TEL】090-8335-9759 (和傘CASA)
投稿日:2021.01.21 最終更新日:2021.01.21