時代を次へつなぐ人 02
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花柳界の文化や歴史も学んでいます。
観覧船の上で優美に舞う。
伝統の担い手を訪ねるインタビュー。続いて話を聞いたのは、舞妓の喜久有さんだ。「もともとお着物や踊りに興味があって、そういう文化に関わる仕事を調べる中で舞妓さんに興味を持ちました」。通信制高校で学びながら岐阜市の芸妓団体「鳳川伎連」で稽古を積み、卒業後の2023年3月に舞妓としてデビューした。
全国の花柳界の中でも岐阜ならではの点は、鵜飼の観覧船で伎芸を披露する機会があること。長良川の風景を背に舞う姿は優美だが、お座敷とは違う難しさもある。特に顕著なのが、空間の狭さだ。スペースが限られるため踊りに制約があるが、それを意識しすぎて表現が小さくなってはいけない。歩幅を適切に抑えながら上半身は伸びやかに踊るという、高い技術が求められる。また、お座敷の場合は途中で廊下に出るなどして一息つく時間もあるが、船上にはそうした“逃げ場”はない。3時間もの間、集中力を保って接客する必要がある。「難しさを感じる点は多いですが、お客様とお別れする時に『楽しかったよ』と言っていただけると『今日も頑張れたんだな』とうれしく思います」。
昭和初期には岐阜の花柳界に500人ほど芸舞妓がいたそうだが、現在は10名ほどにまで減少している。次の時代への文化継承が課題となる中、2024年春に「岐阜伎藝學院」が開校したことは明るいニュースだ。1期生として喜久有さんを含む3名が入校し、日々研鑽を積んでいる。「學院では、花柳界の文化や歴史も学んでいます。過去の時代のものを守っていくことも必要ですし、時の流れに合わせて変化することも大切だと思います。岐阜の花柳界の伝統を受け継いでいけるよう、いろんなことを学び続けたいと思います」。
PROFIELE
喜久 有さん
岐阜県揖斐郡大野町出身。中学生の頃から舞妓に憧れ、岐阜市の芸妓団体「鳳川伎連」で踊りや鳴り物、三味線などの稽古を積む。高校卒業後の2023年3月に舞妓としてデビュー。数多くのお座敷やぎふ長良川鵜飼の「船遊び」の仕事などで経験を積みながら、芸妓をめざして稽古に力を注ぐ。
時代を次へつなぐ人
投稿日:2025.01.23 最終更新日:2025.01.23