Live 05 /農業
(株)早川畜産は、300頭以上の黒毛和種(飛騨牛)を飼育する畜産農家。ここで2021年から働く土本明里さんは、主に子牛の飼育を担当している。「牛によって人懐っこかったり怖がりだったり個性は違います。一頭一頭をよく見て、その子に合った管理を意識しています」。愛情深く牛に接する様子から、この仕事に対する思いが伝わってくる。
土本さんの家はサラリーマン家庭で、元から農業が身近だったわけではない。初めて牛を間近に見たのは、中学校の職業体験で酪農家の手伝いをした時。「牛ってかわいいな」と興味を持ち、農業高校に進んだ。牛に対する純粋な思いは岐阜県農業大学校に進んでも変わらず、就職時も迷いはなかったという。専門知識を活かして研究職などに就くこともできたが、現場で牛と接する仕事にこだわった。
岐阜市内の農家のほとんどが家族経営であり、社員として就農した土本さんのようなケースは珍しいそうだ。畜産農家の多くが後継者問題を抱えているが、(株)早川畜産では先代社長夫妻と2022年8月に社長に就任した息子さん夫妻が事業展開に力を注いでいる。家族の一員のように見守られながら働く土本さんの姿を見ると、地域の農業の未来に可能性を感じる。
「今は主に子牛の哺乳や出産の立会いをしていますが、繁殖の仕事にも関わらせてもらえるようになりました。一つひとつ仕事を教えてもらいながら、着実に成長できている実感があります」
牛を育てることが夢だったから、毎日がとても楽しい。そう話す土本さんは、自分の天職にまっすぐ向き合っている。
■ 土本 明里さん
岐阜県農業大学校を経て2021年4月に(株)早川畜産に就職。「農業は大変な仕事というイメージがあると思いますが、休みもきちんとあって働きやすい職場です。農業の機械化が進み働き方も変わってきていることを、多くの人に知っていただきたいと思います」と話す。
投稿日:2023.01.17 最終更新日:2023.12.07